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飲み会で彼の父が税理士であり、彼もまた東京都大学を卒業後、税理士試験を最短でクリアし、税理士として働いているエリートであると知った。
彼は、東京都大学を卒業後、東京の税理士事務所で3年間働き、父親が経営する事務所に移籍するため静岡に戻ってきたとのことだった。
私の結婚相手を探すという目的で開催された飲み会であったのにも関わらず、産休明けの先輩も含め、女子達の視線は全て雅臣に向けられた。
確かに彼は魅力的だった。父親の事務所で働き始めたことによって以前よりも収入が増えたと言っていたし、年収で言えば私の3倍以上だろう。
当時20代だった私でさえ、今の仕事は体力的にキツいと思っていた。これが40代、50代になったらもっと大変になってくる。そう思うと結婚後は夜勤のないパートに移行したいと考えた。
しかし、相手の年収が低ければ私は夜勤を続ける他ないし、収入が全てではないが将来子供が産まれ、1人大学卒業まで最低1千万、自分の老後の費用に最低2千万かかるとすれば、そりゃ経済力があるにこしたことはない。
雅臣程の収入があれば、私自身がむしゃらに働かなくていいことも明らかだった。
親に紹介したらきっと喜んでもらえるし、友達も職場の人間もきっと驚くだろう。そうは思うものの、当時27歳だった私は雅臣程の収入がなくても私よりもちょっと収入が多ければいいし、この先もっと心から好きになれる人に出会えるんじゃないかと考えていた。
だから、彼から1度付き合ってほしいと告白された時にはお断りをしたのだ。
それを聞いた周りの人間には、雅臣のどこがダメなのか、なぜ断ったのか、あんなに優れた結婚相手を逃したらもう次はないとまで言われてしまい、私は2度目の告白を受け入れることにした。
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