6615人が本棚に入れています
本棚に追加
/486ページ
「何か、食べたいものとかないの?」
と、希望を聞いてみるけれど、
「そちらの好みで、かまわないですから」
そんな風にまた軽くあしらうようにも答えられて、
「そう……」
なんだか取りつく島もないような気がして、それ以上は聞くのを諦めて、とりあえず空いているお店に入ることにした──。
──ランチセットを頼んで、食事が運ばれてくるまでの間、する会話も思いつかずに手持ち無沙汰に水を飲んでいると、
「……永瀬さん」
と、急に呼びかけられた。
「あっ…何?」
さっきまではいくら話しかけても無関心だったのにと、ちょっと驚いて顔を上げると、
「永瀬さんて、何か隠してることとかないですか…?」
そう、不意に彼女に訊かれた。
最初のコメントを投稿しよう!