第六章 匿された秘密

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「何か、食べたいものとかないの?」 と、希望を聞いてみるけれど、 「そちらの好みで、かまわないですから」 そんな風にまた軽くあしらうようにも答えられて、 「そう……」 なんだか取りつく島もないような気がして、それ以上は聞くのを諦めて、とりあえず空いているお店に入ることにした──。 ──ランチセットを頼んで、食事が運ばれてくるまでの間、する会話も思いつかずに手持ち無沙汰に水を飲んでいると、 「……永瀬さん」 と、急に呼びかけられた。 「あっ…何?」 さっきまではいくら話しかけても無関心だったのにと、ちょっと驚いて顔を上げると、 「永瀬さんて、何か隠してることとかないですか…?」 そう、不意に彼女に訊かれた。
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