第一章 美形な精神科医

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──午後になりクリニックに出ると、近野さんが受付にいた。 あまり人と関わり合いたくもないようなこんな時には、おしゃべり好きな真梨奈ではなく、おとなし目な彼女の方で良かったと思った。 政宗医師は、普段と何も変わらない様子で、申し送りの際にも私を一瞥することすらなかった。 ……あの医師が何を考えているのかなんて、私にはわからなかった。 その日の業務が終了するまで、向こうから特に接触してくるようなこともなく、 やがて、仕事の要件以外では何も話すことがないまま、終業時間を迎えた──。
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