第二章 冷酷な悪魔

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やがて一ヶ月が過ぎた頃には、政宗医師とのことは頭から完全に忘れ去られようとしていた──。 彼とは性行為の寸前までは及んだものの、実際には体の関係を持ったわけでもなかったし、遊びだろうとなんだろうともうどうでもいい気にもなっていた。 そんな折り、「使っているボールペンのインクが切れたので、持ってきてください」という内線が受付に入って、備品からボールペンを持って行った。 診療ルームへ入ると、 「ありがとうございます」 と、受け取って、 それから、 「この使えなくなったペンを、捨てておいてもらえますか?」 と、ボールペンを差し出した。
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