第六章 匿された秘密

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その薄ら笑いに、以前に彼女とランチを共にした時にも、 『……永瀬さんて、でも……流されて、なんだか(ハマ)りやすそうですよね。……笹井さんなんかより、ずっと嵌りやすそう……』 そんな風に指摘をされていたことが、俄かに思い出された──。 あの時は、まだ彼との関係を自分の中で消化し切れてもいなくて、 彼女になんとなく不審感を覚えただけだったけれど、 もしも、あの頃から近野さんには関係に気づかれていて、 今も、『知っていて、見ている』と、言われているんだとしたら……そう思うと、 何も言えずに、身体を強張らせることしか私には出来なかった──。
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