曖昧模糊な誕生日

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 そこまで聞いたら、さすがにこれは冗談だな! と思った。 「聞いてないけど……」  最高に冷ややかに、返す。  求められているのはこれだろ!  冗談に冗談で返して欲しいんだろ? 「安心してって、僕が受けで蛇塚くんが攻めの設定なのかよ? はじめてでも痛くないようにしてくれるっていう?」 「ん〜、なんだろうね」  変わらず蛇塚くんはしれっとしていて、真意が読めそうで読めない。 「じゃあそんなときが来たらよろしくね。はじめては痛いだけっていうのが都市伝説だって教えてよ」 「は〜い」  あー、なんか知らないけど了承してくれたよ。  意味わかってんのかな?  いや、わかって乗ってくれてるんだよね。  たぶん蛇塚くんはヘコんでた僕を元気づけようとしてくれたってのが正解。  なにをヘコんでたのか、……せっかく蛇塚くんが忘れさせてくれたんだから、あえて思い返さないようにしよう。  一緒にテーブル片付けて、部屋に戻る。  特別に祝ってもらった感はないけれど、意外と楽しい二十歳の誕生日だったのではないだろうか。 了
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