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ベルトを装着してクールに変身ポーズをとる優哉くんが、この前まではただの童顔の中学生にしか見えなかったのに。
髪を伸ばしはじめたせいか、恋人がいるせいなのか、中性的な 、美少年的なものに見えてしまう。
なんか、困る。
家を出て早めに想いに区切りをつけてよかったなとは思ったけど、やっぱりなんだか、まだ困る。
優哉くんが相方がバイトから帰ってくるから帰るというので、ネオデ◯ケイドライバーを貸してやってアパートの外まで送った。
僕は大量のアルコールを前に、成年早々こんなに飛ばせないと、これらをおすそ分けしようとアパートの共用キッチンに向かった。
とりあえず冷蔵庫に入れておいて、誰かと会ったときにいらないか聞いてみよう。
一本ずつ飲み物を冷蔵庫に突っ込んでいると、キッチンにさっそく誰か来てくれた。
現れたのは、蛇塚くん。
僕の手の中のアルコールを見て、つぶやく。
「あー、不良発見」
いつも僕のことを翻弄する蛇塚くんに、僕はニヤリとした。
「僕ね、今日で二十歳だから。余裕でこれ飲んでもいいんだよね」
くやしがって欲しかったんだけど。
「ふーん、おめでとう」
お祝いされてしまった。
「ありがとう」
僕は普通にお礼を返す。
でもそういえば、蛇塚くんも今年二十歳だよね。
「蛇塚くんは誕生日いつなの?」
たずねると、彼はいつも通り、ニヤリとした。
「秘密」
「もう二十歳だったらお酒わけたんだけど、わかんないからやらないからね」
残りのアルコールを全部しまうと、蛇塚くんはその中の一本、梅酒を取り出した。
「これ飲んでよ」
そして蛇塚くんも飲み物を入れに来たようで、冷蔵庫に数本入れると、
「俺はこれ飲むから」
コーラを手にして冷蔵庫を閉めた。
「誕生祝いしよ」
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