3人が本棚に入れています
本棚に追加
「いや、正直さー」
思い出して切なくなってたけど、蛇塚くんの言葉でふいに我に帰る。
「なに?」
本調子じゃない声で返事をすると。
「矢本さんて、受けなの。攻めなの」
急に専門的なことを質問された。
「うわ、ストレート」
優哉くんがBL好きで漫画本を買いあさっていたので、僕も結構好きで読んでいた。
兄弟モノで、弟が小さくてかわいかったりすると、大人で優しい頼れる兄が攻め。
うちは兄がかわいいから、身長も上回ってる僕が下克上で攻めだね。
と、答えようとして、思いとどまる。
蛇塚くんに優哉くんの話、してないよね。
したかな。
いや、してないはず。
これ、酔ってるのか?
「で、なんでその質問?」
優哉くんのことは忘れて聞いてみる。
「ん~なんだろうね」
ほんとなんだろう。
僕がちょっとヘコんだから、元気づけようと突拍子もないこと言ったのか。
素直に聞きたいから聞いたのか。
なんで聞きたいのかわかんないけど、僕が一般的に受けか攻めか、考えてみた。
「自分では小さくもかわいくもないし攻めだと思うけどさ、漫画とかだと攻めが受けになっちゃうとかあるだろ。状況によるよね」
答えてから、蛇塚くんこういう話するのかと、疑問に思った。
蛇塚くんは腐男子なのか。
あれ、でも僕のほうがだいぶ専門的に考察してない?
……僕は腐男子なのか?
「あ、本気にしてない感じー?」
考えごとしてたらいつの間にか、蛇塚くんが隣にいた。
本気、っていうのは。
蛇塚くん自身がリアルに僕が受けか攻めか知りたくて聞いてきたってこと、なのか?
結構近い位置で、また蛇塚くんは突拍子もないことを言った。
「安心して。俺、とても上手いから」
最初のコメントを投稿しよう!