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1章篇「 異世界ウットオーシャン大陸」
(1)
さて、異世界ゲートに入って暫く歩き続ける匠。すると段々と明るい光が見えて来る。
「お!段々明るくなって来た。もう少しで異世界ゲートの出口だな!もう少しだから頑張ろう」
と、匠は期待と夢を膨らませるかの様に足も自然に早くなり、そしてついに異世界のゲートを抜けてウットオーシャン大陸の森の中に辿り着きました。その時匠の背後から声を掛けられます。
「もしもし?原口匠さんでしょうか?」
「はいそうですがあ、もしかして貴方が質問係の人が言っていた利島源さんですか?」
「そうですよ。初めまして俺が利島源です。俺の事を源ちゃんと呼んでくれてもいいよ」
「そうですかこちらこそよろしくお願いします。私は原口匠と言います」
「うんうん俺の方こそよろしくね。うーん原口匠さんの呼び名なんて呼ぼうかな?じゃ、『匠くん』ってどうかな?」
「『匠くん』ですか?あ、いいですね!」
「お、呼び名気に入ってくれたみたいだね!よかった。じゃ、呼び名を決めた事だし本題に入ろうか?」
「はいよろしくお願いします」
「取り敢えず、質問部署から野菜を作りたい人がいる事は聞いているよ。そして俺が暫くの間、野菜の畝の作り方(野菜の植え方、育て方)のアドバイスをしていきながら匠くんが野菜作りに馴染んでくる様になったら、匠くんの相談役になってあげるからね。それまで匠くんがウットオーシャン大陸に慣れるまで一緒に暮らす予定だからね」
「はい分かりました。宜しくお願いします」
「じゃ、早速だけど2人(俺と匠くん)の暮らす家を見て来ようか?」
「はい!え?森の中に家があるんですか?」
「うん!あるよ多分森の中に溶け込むイメージでログハウス風の作りになっているし、仕事小屋や作業小屋、それとちゃんと畑もあるよ!」
「物凄い!じゃこの畑で野菜の作り方を教えてもらえるんですね?」
「うん、もちろんそうなんだけど、取り敢えずまだ匠くんはウットオーシャン大陸に着いてまだ慣れていないみたいだし今日は海の町で夕食にしよ?明日朝4時から野菜の作り方などを教えてあげるからね!」
「はい、何だか早速師匠ぽいですね!」
「そう言われると何だか照れるなぁ~!よし、家の中に入ろうか!」
「はーい」
と初めて源ちゃんと一緒に家の中に入った途端、匠は驚いてしまいました。
「 うわぁー、凄い。ちゃんと家具が揃っているし、家の外見も凄くいい。俺好みかも!」
「気に入ってくれたみたいだねよかった。さてこれから買い物ついでに海の町に行ってみようか。俺の知り合いに紹介したいしさ」
「 うんわくわく!初めての異世界ご飯」
「あはは匠くん何だか嬉しそうだね!あ、ちょっと待ってて馬を連れてくるからね」
と、源ちゃんは馬を連れてくる為に、自宅の外を周って馬小屋に行ってしまった為源ちゃんの姿が見えなくなってしまいました。
そして1時間後・・・。
「匠くんお待たせ!2頭の馬達を紹介するね!雄馬の流星と雌馬の雲母だよ。お、どうやら雌馬の雲母が懐いた様だよ!」
「え?本当ですか?」
「うん本当。俺なんか雲母にノッタ瞬間暴れまくるからさ」
「あはは・・・大変ですね」
「うん大変。さてとそろそろ行きますか?匠くんは馬乗れるの?」
「うん乗れるよ。でも久しぶりに馬に乗ってなかったから忘れちゃったかな!でもまだ体が覚えているから大丈夫だと思うよ!」
と、言って匠は雲母の背中に乗ると、源ちゃんが声をあげます。
「 あ、ちょっと忘れ物をしちゃった。悪い匠くんちょっと忘れ物を取りに行ってくるから待っててもらってもいいかな?すぐに戻ってくるからね」
「うん分かった!」
と、源ちゃん急いで忘れ物を取りに家に戻ります。そして、
「匠くんお待たせ。忘れ物を取って来たよ」
「はーい、一体何を取りに戻ったの?」
と、匠が源ちゃんに尋ねると、源ちゃんは手に持っていた物を見せてくれました。そこには源ちゃんの手のひらにちょこんと収まっている車輪のついた荷台が小さく乗っていました。
「これは雲母の胴体につけて引いてもらう為の荷物台籠だよ。今日は匠くんの初めての異世界に来た日でもあるから色々と買っていこうと思っているんだ。後、町の料理屋の主人と女将さんに匠くんの事を紹介しておかなくっちゃね。俺の行き付けのお店だから楽しみにしてて」
「うわぁい、ますます楽しみだよ!」
「じゃ、もう忘れ物はないから出発」
源と匠は一路自宅を離れて、海の町(エレゴス)に向かいます。
そして・・・
源と匠は馬の流星、雲母を走らせて、海の町(エレボス)に到着しました。
「 さぁ、匠くん着いたよ。ここが海の町(エレボス)だよ。この町はね、他の大陸との貿易都市として色んな大陸から色んな物を送ったり他の大陸から運ばれて来たりと発展をしている町なんだ。色々な食べ物とか日用品なども色んなお店で売っているしね。たまに朝市をやっている時もあるんだよ!」
「おぉ~!凄い!とっても活気付いている町ですね!町の人達も何だかたくましく見えますね!」
「そうだろ?じゃ、そろそろお腹が空いて来たでしょ?匠くん?」
「はいそうですねお腹空いてきました」
「 じゃ、海の海底亭に入りますか?買い物は食事の後でね!」
「はい、分かった」
2人はゆっくりと馬で歩き、海の海底亭の前で馬から降りました。
「さて無事に到着。ここが俺の行き付けのお店、海の海底亭だよ!」
「おぉ~!ここが源ちゃんの行き付けの店。何だか美味しそうな匂いがする」
「どう?気に入った?」
と、源ちゃんに聞かれた匠は、
『とっても気に入ったよ』
と、首を2回振ります。
「さて、お邪魔するよ」
と、源ちゃん海の海底亭の暖簾を潜り海底亭の主人と女将さんが源ちゃんの方に振り向きます。
「おぅ、源じゃねぇか!久しぶりだな!元気にしてたか?」
と、いう主人の桐生海青さんと、
「あら、源ちゃんじゃない!いらっしゃい。元気にしてた?」
と、いう海青さんの妻の桐生夏希さんに声を掛けられる源ちゃん。
「2人共、元気そうで何よりです。それより席どっか空いてないかい?」
「あぁ、ちょっと待ってな!今、席を片付けるから待ってて」
と、夏希さんが急いで他の客が帰って行った席にのっているテーブルの上を片付けます。
「さ、お待たせ!空いている席に座って!」
「うん分かった。あ、馬達をお店の前にいるんだけどまたお店の裏にある馬小屋を使ってもいいかな?」
「うん大丈夫だよ。またうちの馬小屋を使っておくれ」
「うんありがとういつも助かるよ」
と、夏希さんと海青さんにそう言って源は、お店の前で待たせてしまっている馬達を海底亭の裏にある馬小屋に連れていき、たっぷりと干し草を与えて馬達を休ませます。
「流星、雲母、少しの間、休んでて。干し草もあるからね!」
と、馬達は美味しそうに干し草を食べ始めます。そして馬達の食べている姿を見て、
「うん、美味しそうに干し草食べているから大丈夫そうだな!」
と、源はお店に戻り匠くんが座っている席に着きます。すると匠は
「馬達大丈夫?」
と源ちゃんに聞くので、匠くんに、
「うん大丈夫。馬達美味しそうに干し草食べてるよ」
「じゃ、よかった」
「所で源ちゃん?」
「うん?なんだい?夏希さん?」
「源ちゃんの隣に座っている方ってどちら様なの?」
「あぁ、2人に丁度紹介しようと思ってたんだよ。こちら今日初めて異世界に来た原口匠さんだよ」
と、匠は源ちゃんに紹介されてペコッと夏希さん海青さんにお辞儀をします。すると、
「 あらまぁ、よくこの世界にやってきたねぇ~遠かったでしょ?もうこの世界に慣れたかしら?」
「うーんまだ来たばっかだから、知らない事もあるので慣れるのに時間がかかりそうですね!」
「 そうかい?じゃ、何か料理を作ってやろうじゃないの!」
と、海青さんは何か匠の為に料理を作をするので思わず、
「海青さんまだ料理決めてないんだけどいいの?」
と、源ちゃんは料理を作る準備をする海青さんに聞くと、海青さんは
「あたりめぇーよ。何しろ匠は新人さんなんだろ?色々食べてこのオーシャン大陸になれちまいな!」
と、笑って料理の仕込みを続けます。すると匠は、
「皆さん良い人達ですね!」
「うんそうだね。あの夫婦はとっても仲がいい関係だね。夫婦喧嘩もした事はないし食べて何よりお店の雰囲気とお店の活気があるから俺はこのお店が好きなんだ!」
と、源ちゃんはそう言うと夏希さんが注文を取りにやって来ました。
「さてと、匠さんの源ちゃん、何が食べたいかしら?」
「うーんそうだなぁ~?いつもの奴をお願いしていいかな?」
「了解いつもの奴ね!」
と、夏希さん注文を聞き終わって海青さんがいる厨房に入っていきます。すると匠は源ちゃんに、
「源ちゃん、いつもの奴って何ですか?」
「あぁ、ここの海底亭の名物は丼物が美味しくってさ、よく俺も食べに来るんだよ!」
「ヘぇ〜!そうなんですか?早く源ちゃんのおすすめの丼物食べたいな!」
と、匠は思っている時に厨房から丼物が乗ったお盆を運んで来る夏希さん。
「はーい匠さん、源ちゃん。お待たせしたね。海の海底亭名物イカール貝と3種の魚とスカイとアンギの味噌汁とカルボチーズと野菜のサラダのセットお待たせ!」
「やった。これを待ってました!さぁ食べようか?匠くん?」
「うんいただきます」
匠は初めての異世界ご飯に挑戦です。早速食べてみると匠は思わず、
「あ、とっても美味しい。イカール貝も身の中心も柔らかくて美味しいし、3種の魚も白身であっさりしてるし、全然魚臭くない。前世の俺は魚が苦手だったけど、このお刺身だったらもしかしたら魚の苦手を克服出来たかもしれない」
と、匠は魚嫌いな事を思っていると夏希さんが、
「匠さんどうだい?美味しいかい?」
と聞いてきたので匠は、
「はい、とっても美味しいです。イカール貝もとっても美味しいし、3種の白身はとっても柔らかくて魚の生臭さもないし、魚に程良い油がのってて美味しかったです」
「そうかい?よかった」
と、源と匠はとっても美味しい夕食を食べてご満悦の様子です。
「さて、お腹も一杯になった事だし、買い物をして家に戻るとしようかね?」
「うんそうだね?」
「夏希さんお金支払います」
「いいよ!今日は匠の初めての異世界に来た日だから今回はサービスするからね」
と、いう夏希さんに対して源は、
「いつも頭が下がりっぱなしなのでこ今回はお支払いします」
「そうかい?じゃ、今、会計するね!」
と、夏希さん会計をしていき源ちゃんは財布からお金を取り出し、夏希さんにお金を支払います。
「まいどありがとう。源ちゃん匠さんまた来てね!」
「はい。また来ます。所で夏希さん買い物から戻って来たらお水を一杯もらってもいいですか?」
「あぁうんいいよ」
「ありがとう」
と、源さん2人にお礼を言って買い物に向かいます。
「さてと買い物をしよう!今日買う物は匠くんに合うパジャマの上下と明日の朝食で使う野菜や日用品などを買っていこうと思うんだ。さてとどんなパジャマの上下が匠くんに似合うだろうな?まずは服屋さんでパジャマを買って、その後少し色んな場所を見てから自宅に戻ろうね!」
「はい」
「さてと、どんなパジャマがいいかな?うーん匠くんのパジャマの柄何がいいかな?服屋さんに言って匠くんと一緒に決めよう」
と源ちゃんは匠と一緒に服屋さんに移動して、到着しました。
「さてとたっくんのパジャマ何柄がいいかなぁ~?たっくんは何柄のパジャマがいい?」
と、匠に聞くと、匠は、
「うーん分からないから源ちゃん選んでもらっても大丈夫です」
と、いうので、
「よし、青模様のはいったパジャマを買おうとしよう!」
と源は選んだパジャマを持ってレジでお金を支払いました。
「お買い上げありがとうございました!」
と、服屋さんの店員さんはにこやかに言いました。
「はい、たっくん俺からのプレゼント!」
「えぇ~いいんですか嬉しいですありがとう」
「パジャマ気に入ってくれたかい?」
「はい気に入りました!」
「良かった〜!明日の朝4時から畑仕事の事を教えていくからね?」
「はい」
そして源さんと匠さんはちょこっと色んな物を買って荷馬車を水で大きくし、雲母の後ろにくくりつけて買った荷物を置き自宅に戻ります。
そして源と匠の2人は自宅に到着して、急いでお風呂を沸かして先に匠がお風呂に入ります。
「はぁー!生き返る〜!久しぶりのお風呂だ~!気持ちいい~!」
と、久しぶりのお風呂を堪能する匠。すると、源ちゃんが、脱衣場から声を掛けます。
「どう?たっくん?久しぶりのお風呂のゆかげんは?気持ちいいかい?」
と、源ちゃんに聞かれたので匠は、
「はい!とっても気持ちいいです!」
と、匠は源ちゃんにそう言うと、
「じゃ、良かった〜!匠くん俺もお風呂に入りたいんだけどいいかな?」
「うん一緒に入ってもいいよ。俺もまだ頭と体洗ってないからさ」
「本当!じゃ、背中洗ってあげるから、匠くんも俺の背中洗ってくれるかい?」
「分かった」
と、匠と一緒にお風呂に入って背中を交互に洗っていきます。そして、洗い終わった源ちゃんと匠はまた湯船に入っていると、源ちゃんが、
「あぁ、やっぱりお風呂は気持ちいいね!なんだか匠くんが言っていたとおり生き返るよ!」
「源ちゃん?質問があるのですがいいですか?」
「うん?なんだい?匠くん?」
「 このお風呂の水や台所の水なんかはどうしているんですか?」
「あぁ、この自宅の裏に雨の水を溜めておくタンクがあって、そこから汲み上げているんだよ。雨が降らない時は森の地下水を使っているんだよ」
「 なるほど」
と、匠は源さんの質問の答えに納得し、また湯船に入り、体が温まった所で浴槽から上がり綺麗になった頭と体を拭いてから源ちゃんがプレゼントしてくれた真新しい寝間着をきてベットに入ります。
「じゃ、お休みなさい源ちゃん」
「あぁ、お休み。明日4時に起こすからね」
「はい、了解です。お休みなさい」
と、匠の異世界初日の夜が終わりました。
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