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(3)
朝市が終って次の日の朝、匠さんの様子が変です。
「匠さんおはようってあれ?なんか元気ないけど大丈夫?」
と、心配した源さんは匠さんに尋ねると、
「源さんおはようございます」
と、匠さん朝の挨拶をした瞬間、大きな音を立てて荒い呼吸を繰り返しながら倒れてしまった匠さんの姿を見た途端に源さん匠さんの元に駆け寄り声を掛けます。
「匠さん匠さん一体どうしたの?大丈夫?」
と、青ざめてしまった源さんの呼び掛けに匠さんは少しだけ目を開けながら、
「うん、なんかいつもと調子が悪いみたい」
と、源さんの質問に答えた匠さんはまた目を閉じてしまいました。そしてパニックになってしまった源さん、
「これは匠さんが大丈夫じゃない!熱が物凄く高いし、一体どうしよう?」
と、まだ顔を真っ青にして夏希さんのお店にパニック状態になりながらも急いで電話を掛ける源さん。
「はい、もしもし、海の海底亭で御座います」
「夏希さーんわぁーん助けて下さい」
と、電話越しに泣き始めてしまった源さんの電話に夏希さん、驚いて
「その声、源さん?一体どうしたの?そんなに震えた声を出して、源さん一旦落ち着こう」
と、夏希さん源さんを電話越しで一旦落ち着かせた後に源さんの話を聞きます。
「源さんどう?落ち着いた?」
「うん少し落ち着いた」
「良かった。もう大丈夫だね。所でどうしたの?」
「匠さんが急に体調が悪くなって、床に倒れちゃったんだけど俺看病とかした事なかったからパニックになっちゃってどうしたらいいか分からない」
と、また泣き始めた源さんに、
「源さん一旦落ちついて!私がそっちに今から向かうから源さんは匠さんをベットまで連れて行って頂戴。後、それからお風呂場から洗面器に水を汲んでタオルを浸けておいて!私もなるべく早く向かう様にするから。源さんも匠さんの世話を頼むね!」
「はい、夏希さんお待ちしております。はい失礼します」
と、一旦夏希さんとの電話を切り、夏希さんが来るまでの間に匠さんをベットまで連れていき休ませます。
「匠さん、匠さん、体起こせる?ベットで休もう」
「うん」
と、匠さんに一旦体を起こしてもらい匠さんをベットまで連れて行こうとしますが匠さんの足がふらふらな状態で、匠さんの体を支えるのは大変でしたがなんとか匠さんをベットに連れていく事が出来ました。そして匠さんが休んでいる間に夏希さんに頼まれた洗面器の中に水とタオルを入れて、机の上には体温計を準備して、夏希さんが家に到着するのを待ちます。そして、
「源さん、夏希です。助けに来たよ」
と、無事に夏希さんが到着してくれた事に感謝して、
「良かった~。やっと来てくれた。ありがとう夏希さん。家の中に入って下さい」
「うん。じゃ、源さんお邪魔します」
と、夏希さんに家の中に入ってもらい、寝ている匠さんの所まで案内して、夏希さんに、
「取り敢えず、夏希さんに頼まれたとうりに洗面器に水とタオルを入れておいたよ。後、体温計も机上に置いたから、俺も何か手伝う事があったら言って欲しいな!」
「 うん源さん分かったよ。有難う」
と、夏希さん机の上に置いてある体温計を手に取ると寝ている匠さんの左脇の下に入れて体温を計りながら匠さんの額に水で濡らしたタオルをのせて冷やします。そして、体温計のアラームが鳴って夏希さんが匠さんの脇の下から取り出して体温を確認してみると、
「 うーん、やっぱり熱が高いね!昨日朝市に一緒に行った時は匠さん咳をしている様子はなかったしね!」
「うんそうだね!俺も朝、匠さんと一緒に畑の事を教える時も何も変わった様子もなかったからもしかしたら昨日朝市で沢山歩いて疲れて高熱が出ちゃったんだね」
と、落ち込む源さんに夏希さん、
「源さん大丈夫だよ。確かに昨日朝市で沢山歩いたけど匠さんなんだか楽しそうだったからまた直ぐに元気になるよ!」
「うんそうだよね」
と、夏希さんに励まされ、少し元気を取り戻す源さん。すると、匠さんの苦しい呼吸の仕方に気付く夏希さんは、
「あ、匠さんの額から汗をかいてる。拭かなきゃ」
と夏希さん匠さんの額に浮かび上がる汗をタオルで優しく拭いていきます。そしてまた苦しんで寝ている匠さんに濡らしたタオルを絞り載せます。そして夏希さん、
「匠さん辛いよね!」
「うんそうだね」
「あ、もういつの間にかお昼の時間だね!匠さんどうだろう?食欲あるかな?」
と、寝ている匠さんに夏希さんが声を掛けます。
「匠さん、もうお昼だけどご飯食べる?」
と、寝ている匠さんに聞くと匠さん首を左右に振るので、
「あ、匠さんまだお昼ご飯要らないみたいだね。調子が悪いから食欲が出なくって食べたくないのかもしれないね?もう少したったらまた声を掛けてみようかしらね!」
「うんそうだね」
と、源さんと夏希さんの2人は椅子に座って休憩を取っていると、夏希さんが
「やっぱり匠さんを医者に見てもらった方がいいかもしれないね」
と、夏希さん一言呟きながら源さんに言います。
「うん、そうだね!匠さんを一回お医者さんに見てもらった方がいいのかもしれないね!夏希さん、お医者さんに電話してもらってもいいですか?」
「うん、分かった。じゃ、源さん電話を借りるよ」
「分かった。じゃ俺は匠さんの方をみてるね!」
「宜しく」
と、夏希さん急いで電話を掛けます。
「もしもし、ちょっとお尋ねしますが訪問診察って出来ますでしょうか?」
「はい出来ますよ!何方ですか?」
「男性で19歳です。今朝いきなり高熱を出して倒れてしまって」
「 ふむ、分かりました。今からそちらに診察に伺いますので椅子を一脚用意してもらえますか?」
「はい分かりました。じゃ森の入り口付近でお待ちしております。はい失礼します」
と、夏希さんお医者との電話を終えて受話器を静かに置いて、匠さんの看病をしている源さんに言います。
「源さん今からお医者さんが診察に来てくれるよ」
「本当ですか?夏希さん?」
「うん本当だよ!さてと、私は森の入り口で付近で先生が待ってなくちゃいけないから源さんは椅子を一脚用意して待っててくれるかな?」
「分かった。じゃ、先生が到着したら家まで案内宜しくね」
「了解」
と、夏希さんと一旦分かれて源さんはお医者さんが来るまでの間に寝むっている匠さんのベットの所に椅子を一脚用意していきます。
「うん、これで準備完了かな?あ、後は匠さんの背中の方を見るかもしれないから俺の枕を準備しておこう」
と、源さんの準備も着々と進む一方、夏希さん暫く森の入り口付近でお医者さんを待っていると馬の足音が聞こえ始めました。
「お待たせ致しました。貴方が電話を掛けて来た人ですね?」
「はいそうです」
「貴方のお名前を伺っても宜しいですか?」
「はい私は桐生夏希と言います」
「夏希さんよろしくお願いします。おっと、紹介が遅れましたね。私の名前は天童利一と言います。利一先生と仰ってください」
「はい分かりました。早速ですが利一先生家まで案内します」
「はいお願いします」
と、夏希さん到着した利一先生と一緒に匠さんと源さんが待っている自宅に案内して行きます。
「利一先生この家に原口匠という男性が今朝いきなり酷い高熱を出して寝ている状態です。今の所は咳は出ていません。診察の方をお願いします」
「分かりました」
と、夏希さん源さん達が待っていた家に到着して、
「源さん電話したお医者さんが来てくれたよ!」
と、玄関を開けて源さんを呼ぶと
「はーい分かった。お医者さんに入ってもらって」
と、源さんサインを出します。
「了解!利一先生入って下さい」
「分かりました失礼します」
と、源さん、夏希さんにサインを出して
「紹介が遅れました。私の名前は天童利一と言います。以後お見知り置きよ」
と、源さん、
「あ、ご親切にどうも。俺の名前は利島源といいます。そしてベットで休んでいる男性が原口匠と言います」
「じゃ、先程夏希さんからの説明どおりの高熱なんですね?」
「はいそうですね!」
「分かりました。じゃ、早速匠さんの診察を開始していきますね」
「はい利一先生よろしくお願いします。あ、利一先生椅子を用意してありますので是非どうぞ」
「ありがとうございます。さて匠さんの体を上半身だけ起こしてもらい、匠さんの心臓の音を聞いていきますので一旦匠さんを起こしましょうか?」
と、一旦寝ている匠さんを起こす事になり、源さん匠さんに声を掛けます。
「匠さん。寝ている所ごめんね!ちょっとの間起きられる?」
と、匠さんに声を掛けると匠さんの目が半分開き
「うん分かった!源さん上半身だけ悪いんだけど起こしてもらっていいかな?」
「了解」
と、源さん匠さんの体を上半身だけ起こして利一先生の診察が始まります。
「先ず最初は匠さんの心臓の音を聞いていきますので匠さんの服を捲くってもらっていいですか?」
「はい」
と、源さん匠さんのパジャマを捲り、利一先生匠さんの心臓の音を聞いていきます。
「はい大丈夫です。さて今度は少し匠さん前屈みになってもらいますよ。その後、背中の方の心臓の音を聞いていきますね。源さんと夏希さんの2人は匠さんのサポートの方をよろしくお願いしますね!」
「はい分かりました」
と、匠さん前屈み状態になった所で背中の心臓の音を聞いていく利一先生。そして、
「はい大丈夫ですよ!さてまた先程の状態に戻ってもらい、今度は口の中を見ていきますよ」
と、匠さんをゆっくりと元の状態に戻している間に利一銀色に光る棒とライトを持ち匠さんの口の中を見ていきます。
「 匠さん、私の真似をしてもらってもいいですか?」
と、匠さん利一先生と同じ真似をする匠さん。すると利一先生、
「うーん大分喉の奥が赤くなっていますね。昨日何か変わった事ってありましたか?」
と、利一先生に聞かれたので、夏希さん、
「そうですね!昨日住んでいるエレゴスの朝市があったんで誘って朝市に行きましたよ」
と、利一先生に質問を返すと、利一先生、
「なるほど分かりました。もしかしたら朝市に行った人混みの中に風邪を引いた人がいてそこから風邪をもらってしまった可能性があります。今の所高熱しか出ていませんが、今夜か明日の朝頃に咳が出始めると思いますので高熱を下げる粉薬と抗生物質と一応念の為に咳止めを出しておきますね。今手渡した薬がなくなってしまったら天童医院まで電話下さい。電話番号のカードを渡しておきますね」
「はい、利一先生ありがとうございます」
と、夏希さん利一先生から薬を受け取ります。
「さて、今日はこれで失礼致しますね。お大事に!」
「はい、利一先生ありがとうございました」
と、源さんと夏希さんは利一先生を森の入り口までお見送りし、あっという間に馬に乗った利一先生が小さくなるまで見送り、
「さてと、お粥を作って、さっき受け取った薬を匠さんに飲ませなくちゃね!」
「うんそうだね!」
「あ、キッチン借りるよ。後、お米って何処にある?」
「お米は冷蔵庫の中に入ってるよ」
と、言うと夏希さん早速冷蔵庫からお米を取り出してからお米の分量を計りご飯を洗って炊いていきます。そして暫くしてご飯がふっくらと炊き上がったので今度は土鍋の中に出来立てのご飯と水を入れて火にかけて煮詰めていきます。そして、夏希さん、
「はーい、お待ちどう様。お粥出来上がったよ。とっても美味しそうだよ」
と、夏希さんの持っていたトレーの上には、じっくりと煮込んだお米と崩した卵と葱が入っていました。それを見た源さん、
「うわぁ、美味しそうですね?夏希さん。これなら匠さんも食べてくれそうですね!」
「うんそうだね。じゃ、匠さんを起こして見よう」
と、夏希さんと源さんは寝ている匠さんを起こしてちょっと早めの夕食タイムです。
「匠さん、もう夕方だけど起きられる?夏希さんがお粥を作ってくれたけど食べよっか?」
と、寝ている匠さんに声を掛けると、匠さんの目がゆっくりと開き、
「うん分かった。体を起こして。食べる」
と、匠さん目で合図をおくり、源さんに出来立てのお粥を匠さんのベットまで運び食べさせます。
「はい、匠さん!あ~ん!」
と、夏希さん、匠さんの口まで運ぶとゆっくりとお粥を食べ始める匠さん。すると夏希さん、
「どう?美味しいかい匠さん?」
と夏希さんは食べている匠さんに聞くと、
「美味しい」
と、上下に首を振る匠さん。すると余りにも嬉しかったのか思わずガッツポーズが出ました。そしてまたゆっくりと匠さんの口にお粥を食べさせて、お粥が半分になった所で、匠さんはなんだか眠たそうな顔をしているので夏希さん、
「匠さん、もうお腹が一杯何でしょ?分かったよ。さて匠さんが寝ちゃう前に薬を飲ませなくちゃね!」
と、今度は源さんが匠さんに利一先生に出してもらった高熱を下げる粉薬を水で溶かして抗生物質を準備していきます。
「はい、匠さんお薬だよ!頑張って飲もうね!」
と、先ず最初に水で溶かした高熱を下げる粉薬を匠さんの首をゆっくり上げてから口にゆっくりとコップを傾けながら飲ませていき、高熱を下げる薬を全部飲んだら、今度は抗生物質の錠剤を飲ませていきます。でも薬を飲んだ瞬間に、『苦い』という顔をする匠さん。でも匠さんは最後まで2つの薬を頑張って飲んでくれました。すると、夏希さん壁に掛っている時計をみた瞬間に慌てながら、
「あーいけない。お店を開店する時間だった。ごめん源さん一旦お店に戻るね!」
「うん大丈夫だよ。今夜は匠さんの寝ずの番だから気にしないで行って来てね!」
「うん分かった。源さん有難う。明日の朝、うちの旦那と来るからね!」
「了解」
と、夏希さん一旦海底亭を開店させる準備の為、夏希さんエレボスに戻って行きました。そして慌ただしかった初日の夕方が終わり、夜がやって来ました。自宅の外では窓から月の光が家の中を照らしています。そして夜中になり始めた途端に匠さんの咳が出始めます。
「 ゴホゴホ」
と、強めの咳をしている匠さんの背中を眠気と戦いながら摩る源さん。
「匠さん、咳が出始めて来ちゃったから咳止めを飲もうね!」
と、コップに水を汲んで強い咳を繰り返す匠さんの上半身を起こしてから匠さんの口に水と咳止めを飲ませていき、高熱ですっかり乾いてしまったタオルを絞り直し匠さんの額に戻すとまた匠さん静かに寝始めます。
「 ふぅ〜!やっぱり利一先生が言っていた事は本当になったな!取り敢えず匠さんに咳止めを飲ませたから、少し強めの咳が治まってくれるといいけど。匠さん、早く風邪がよくなってまた畑の事をやっていこうね」
と、匠さんの手を握り呟く源さん。そして2日目の朝がやって来ました。源さん匠さんの脇に体温計を差し込んで熱を測っていきます。ベットでは匠さんが強めの咳をする事もなく静かな寝息を立てて寝ています。そして体温計のアラームが鳴り匠さんの左脇から取り出して確認していく源さん。でも体温計の数字を見た源さんは、
「うーんまだ熱が高いけど咳の方は昨日の夜に咳止めを飲ませたからなんとか落ち着いてはいるけど咳止めが切れた途端にまた強めの咳が出始めちゃうんだよな!」
と、源さんが思っていると夏希さんが玄関から元気に入って来ました。
「おはよう源さん。匠さんの具合はどうかな?」
「あ、夏希さんおはよう御座います。取り敢えず昨日利一先生に出してもらった薬が効いてきたみたいですよ。でも、昨日の夜から利一先生が言っていたとおりに咳が出始めたから咳止めを匠さんに飲ませて今、なんとか咳が落ち着いているけど、高熱も昨日と変わらないんだよね」
「うーんそっかー。中々高熱が下がらないね!あそうだった!源さん今日私の旦那が来る予定だよ」
「え?それって夏希さんのお店は大丈夫なんですか?」
と、源さん夏希さんに聞くと、夏希さんは、
「うーんそれがね」
と、源さんに言うと、
『夏希さん回想モード:それは、源さんの自宅から帰って来た夜に遡る。
いつもどうりに賑わっていた夜の海の海底亭。夏希さん、夫の海青さんに匠さんが倒れてしまった事を話をしました。
「 ねぇ、貴方。昨日匠さんが倒れちゃったのよ。でね今日源さんの所に行ってきたんだけど、匠さんが辛そうで大丈夫かなぁって思っているんだけど源さんの事が心配だわ!」
「 えぇ~!そうなのか!それは心配だな!匠さんの様子はどうなんだ?」
「うん全然大丈夫じゃないし、匠さんの高熱は中々下がらないから昨日の昼間に利一先生に家まで来てもらって薬を飲ませたんだけど・・・。今夜は源さんが匠さんの寝ずの番をしていると思うから明日の朝また源さんの手伝いに行ってくるね」
「じゃ、俺も源さんの看病の手伝いをしに行くよ」
「え?このお店はどうするのさ」
「1週間臨時休業にする」
と、夏希さんにそう言ってお店の入り口に手書きの張り紙を海青さん貼ってしまいました。
『暫くの間、海底亭をお休みとさせて頂きます店主』
と、夏希さんなんだか複雑な顔をしながら、海青さんに、
「あんた匠さんの看病を手伝うのはいいけど、お店の冷蔵庫の中身は確認しに来て頂戴ね」
「はいはい分かった。あ、後海馬さんにあれも頼んでおくか!」
夏希さんの回想モード終了』
と、夏希さん溜息を付きながら源さんに、
「そう云う事が有ってさ1週間もお店の売り上げがなくなってしまって何だか複雑な気持ちだよ私は」
「あははは・・・。大変ですね」
と、源さん夏希の話に苦笑いしていると、家の外から『おーい、おーい』と言う声が聞こえて来たので家の外に出て見ると海青さんがやって来ました。
「海青さん、夏希さんから聞きましたけどお店の方は大丈夫なんですか?1週間も休んでしまって」
と、源さん海青さん尋ねると、
「うん、大丈夫だよ!それに源さん1人だけだと匠さんの看病大変でしょ?俺も手伝いにやって来たんだよ。後、これも海馬さんに無理言って頼んで作ってもらったんだよ」
と、海青さんが持って来てくれた物は大吾竹で作られた桶とテーブルでした。
「え?もしかしてこれって?」
「 うん海馬さんからだよ。匠さんが倒れた事を海馬さんに言ったら驚いてたよ」
「そうなんですね、海馬さん有難う御座います。後でお礼の手紙を書かないとだね」
と、源さん1人で呟いていたら海青さん、
「今頃、海馬さん寝不足で寝ているんじゃないのかな?」
と、鼻で笑っている海青さんに源さん、
「あはは・・・多分寝不足で寝ているかもしれなせんね」
と、海青さんの発言に苦笑いをするしかない源さん。そして、手伝いに来てくれた海青さんに源さん、
「海青さん取り敢えず家に入っても大丈夫ですよ。海青さんもこの自宅まで来るの大変だったでしょ?だから家で休憩して下さい」
と、源さんは海青さんに言うと、海青さん、
「うん有難う源さん。そんなにまだ疲れてないから大丈夫だよ。源さん俺の事心配してくれたんだよね?」
「うんそうだよ」
と、笑って言う海青さん。そして、
「さて、家にお邪魔するね!」
「はいどうぞ!夏希さんもいるよ」
「うん分かった!有難う。お邪魔します」
と、源さん海青さんに家の中に入って来た途端に匠さんがまた苦しみ始めるので、源さん
「あ、タオルが乾いてしまったから寝られないのかな?」
と、乾いてしまったタオルを水で浸し匠さんの額に戻すと静かな寝息を立てて眠る匠さん。
「さてと、私の旦那が到着してくれた事だし、匠さんの体を拭いて綺麗にしなくちゃね!流石に頭を洗うのは高熱が下がったらにしようかしらね?」
「うんそうだね。」
「じゃ、源さんお風呂場を借りていいかい?」
「うんいいよ」
「有難う。源さん昨日の夜から匠さんの寝ずの番だったから疲れているでしょ?少し寝てていいよ」
「 うんそうだねじゃ、夏希さんお言葉に甘えて少し休むね」
「うん分かった!お休み源さん」
「うんお休み」
と、海青さんと夏希さん達に匠さんの事を任せて少し眠りに就くとあっという間に寝てしまった源さんの寝顔を見た夏希さんは、
「 あ〜やっぱり源さん、昨日の夜から匠さんの寝ずの番で疲れちゃってたんだね!」
「うんそうだね源さんには少し休んでもらおうね」
「うんそうしましょ!」
「さてと、貴方寝ている匠さんを起こして体を拭いていきましょ?匠さんをお風呂場まで連れて来て頂戴な!」
「あいよ~!夏ちゃん分かった!」
と、海青さん寝ている匠さんの布団を捲くって声を掛けます。
「匠さん起きて、お風呂場で体を拭くから俺の背中に乗ってくれるかい?」
「うん分かった」
と、匠さんに声を掛けてから海青さん匠さんのベットの前にしゃがみ込むと匠さん海青さんの背中にゆっくりと匠さんが乗った所で夏希さんがいるお風呂場に連れていきます。そしてゆっくりと匠さんを椅子の上に下ろしていきます。
「は~い匠さんバンザーイ」
と、手を上げて万歳状態になった所で匠さんが着ていた服とズボンを脱がせた後に洗濯機に放り込んで洗っていきます。そして夏希さん、
「さてとそろそろ匠さんの体を拭いていくよ。いいかい貴方〜?」
「うんいいよ〜」
と、海青さんのOKサインをもらった所で夏希さん早速お湯の中に浸しているタオルを桶から取り出してからゆっくりと匠さんが火傷しない様にタオルを適温になるまで手で冷ましてから匠さんの体を拭く前に声を掛けます。
「匠さん今から体を拭くよ」
と、優しく匠さんに声を掛けてから夏希さん匠さんの前と手を拭いていくと、冷めてしまったタオルをまたお湯の中に浸してからまた最適な温度になるまで手で冷ましてから今度は匠さんの背中を拭いていくので、海青さんに声を掛ける夏希さん。
「さて今度は匠さんの背中を拭いていくから匠さんを椅子の背もたれ側に向かせて頂戴!」
「うんあいよ」
と、今度は匠さんを一旦椅子から立ち上がらせてから『くるり』と匠さんの体を背もたれ側に回転させてから夏希さん匠さんの背中側を拭いていきます。そして、最後に足を拭いて綺麗になった所でぐっすりと寝ていた源さんが起きる起きる音がしたので、海青さん洗面所のドアを開けて夏希さんが源さんに
「源さんおはようよく眠れたかい?」
「うん夏希さんおはよう。よく眠れたよ」
と、大きな欠伸をする源さん。そして、夏希さん
「じゃ、源さんが復活した所で匠さん綺麗になったよ」
「分かった。じゃ、バトンタッチするね」
「うん了解。源さんお願いね」
「は~い」
と、お風呂で匠さんの体を拭いていた夏希さんとベットで休んでいた源さんがバトンタッチして、夏希さん先に洗ってあった匠さんのシャツとズボンを干しに行く前に空いた洗濯機に枕カバーとシーツを今度は洗っていきます。そして、外に干し終えた夏希さんは昨日夕方に作っておいたお粥を暖めます。そしてお風呂場では海青さんと源さんの2人は匠さんをリビングに連れていき、源さんが匠さんの着る服をタンスから出して着させていき、椅子にゆっくりと座らせると夏希さん
「 匠さん、座ってるからそのままでいいよ」
「うんそうだね」
と、源さんと海青さんに言うと夏希さん匠さんの口元に温めたお粥を運び食べさると匠さんゆっくりと口を開き食べ始めます。そして、匠さんの口の動きが止まったらまたお粥を運び食べさせると、源さん
「夏希さん、匠さんのお昼の薬まだ飲んでないよね?」
「うんまだ飲んでないけど、匠さんお粥を食べている途中だからお粥を食べ終わったら薬を飲ませようね」
「うん」
と、匠さんの口が止まっていたのでまたお粥を口元に運び食べさせます。そして匠さんのお腹が一杯になった所で源さん水道からコップに水を汲んで高熱を下げる粉薬を溶かしてから抗生物質の順番に飲ませる準備してお腹一杯でなんだか眠たそうな顔をしている匠さんに声を掛ける源さん。
「匠さんお昼用の薬だよ。苦いかもしれないけど頑張って飲もうね!」
と、先ず最初に水で溶かした高熱を下げる粉薬の入ったコップをゆっくりと匠さんの口元に傾けながら飲ませていき、今度は抗生物質を匠さんの口に放り込んで飲ませていきますが匠さんが倒れた日と同じ様に苦いという顔をしますがちゃんと苦い薬も頑張って飲んでくれました。そして夏希さんと源さんの2人に海青さんが、
「匠さんお昼用の薬飲んだから源さんのベットを借りて匠さんを休ませよう。丁度匠さんの枕カバーとシーツ洗っているからさ」
と、海青さんが言うと、洗濯機に枕カバーとシーツを入れっぱなしだった事を思い出した夏希さんと源さんの2人。夏希さんが、
「あ、シーツと枕カバーを洗っているのをすっかり忘れてたよ。もう洗濯終わっているかなぁ~?まだなんとか夕方までには匠さんの枕カバーとシーツが乾くといいけどなぁ~?」
と、夏希さんがそう言うと窓から外を覗いて見ると外はまだまだ太陽が元気に笑っている様に輝いているので源さんは夏希さんに、
「夏ちゃん俺が洗濯物を干してくるよ」
「えぇ〜?源さんいいの〜?」
「うん大丈夫だよ任せておいて」
「分かった有難う源さん宜しくね」
「は~い」
と、夏希さん源さんに洗濯物を任せ、源さん洗面所に洗濯物を取りに行くついでに家の裏の加湿装置のレバーを上げると家の中から、
「何だこの煙は」
と、驚いた声を出す海青さんと夏希さんの2人に源さんが説明します。
「夏希さん海青さんごめんそんなに驚かなくて大丈夫だよ。この霧は山から出てる霧だから無害だから心配しなくていいよ」
と、驚いている海青さんと、夏希さんに優しく言うと何だかホッとした顔で、
「良かった~!急に煙が出できたもんだから驚いちゃったよ。あれ?この霧って裏山から出る霧何だよね?」
「うん。そうだよ。今、匠さんが風邪引いているから、俺と夏希さんと海さん達に風邪が移らない様に加湿中なんだ。家の中の加湿が終わればレバーが元の定位に勝手に上がるから大丈夫だよ!」
「へーなるほどね〜!」
「じゃ、俺は洗濯物を今から干してくるよ」
「うん分かった!」
と、源さん自宅の縁側で洗濯機から取り出したシーツと枕カバーを干していると、
「 えぇ〜!源さんそんな所で洗濯物を干せるんだね?」
「 うんそうだよ。自宅の目の前は縁側になっていて机と椅子を出してきて朝ご飯を食べられるし雨が降ってきても洗濯物が濡れる心配もないから助かっているんだよね~!」
と、窓から夏希さんが顔を覗かせながら驚きつつ不思議そうに、
「へぇ〜!なるほどね!確かにお店の裏に洗濯物を外に干しているんだけど、どうしても急な雨が降って来たりすると外に干しておいた洗濯物が雨に濡れてしまうから雨の日は大変だよ」
と、源さんに言ったら、源さん夏希さんに
「そうなんだ、じゃ、雨に濡れない場所を作ってもらったらどうかな?」
と、源さん夏希さんにアドバイスをすると、夏希さん
「うーん確かに源さんの言うとおりだね。今度お店に戻ったら旦那と相談してみようかしらね!」
と、海さんの背中に匠さんをおんぶしながら源さんのベットに連れていき、匠さんを寝かせながら水で濡らしたタオルを額にのせてあげると匠さん静かに眠りについたので夏希さんと海青さんの2人は疲れたので椅子に座って休憩をはさみます。
「ふぅ〜!疲れた。なんとか匠さんの体が綺麗になったからこれで少しずつ高熱が下がってくれる事を祈るしかないね」
「うん、そうだね。匠さん薬も頑張って飲んでくれてるから明日には匠さんの熱が下がってくれてるといいんだけどね!」
と、夏希さんと海青さんの2人は静かに眠っている匠さんの方を見ます。そして、夏希さん
「さてと、休憩を入れたからですかそろそろ夕食のお粥を温めて匠さんに食べさせなくちゃね!これで匠さんが風邪の時に作っておいたお粥は終わりだから明日のお粥の食料を一旦お店に戻って冷蔵庫の中身を確認して、早く食べなくちゃいけない食材があったら持って来るよ」
「うん。分かった。夏ちゃんこっちに戻って来るのは何時頃に戻ってくる?」
「うーんそうだね。匠さんの夕食までには戻って来るかな?あんたはどうするかい?」
「うーんそうだなぁ、俺は源さんと一緒に匠さんの様子を見てるよ」
「分かった!ちょっとお店に行って来るね」
「はーい。夏ちゃん行ってらっしゃい」
「うん行って来まーす」
と、夏希さんは海底亭に一旦戻り、冷蔵庫の早く食べなくちゃいけない食材を取り出してからまだ大丈夫そうな食材を一通り見終わった夏希さん、匠さんと源さんと海青さん達が待っている家に戻ります。そして一方の海青さんと源さんの2人はベットで寝ている匠さんの寝顔を見ながら、匠さんの看病を続けています。そして、匠さんが苦しむ顔の時は源さんと海青さんの2人で交互に交体で乾いてしまったタオルを水で濡らしてからまた匠さんの額に戻すと、また静かな寝息を立てながら匠さん眠りに付くと、匠さんの寝顔を見ていた海青さんがある事に気づいて、源さんに、
「ねぇ〜?源さん?ちょっといいかな?」
「うん、源さん何だい?」
「そういえば、匠さんが寝ている時、濡らしたタオルを匠さんの額に戻した時にスーッと寝付いているでしょ?」
「うん、確かに」
「もしかしたら匠さんの中でサイクルが出来ているんじゃないないかなと俺は思うんだけどね!」
「え?それってどういうサイクルですか?海青さん?」
「うん、先ず始めに匠さんが静かに寝ている→タオルが乾き始める→匠さんが苦しみ始める→また乾いたタオルを水に濡らす→匠さんの額に戻す→匠さんが静かにまた寝始めるっていうサイクルを繰り返しながら寝ているんじゃないのかな?と俺は思うんだけどね」
と、海青さんの話を真剣に聞いていると、匠さんがまた強めの咳をし始めたので、源さんコップに水を汲み匠さんに咳止めを飲ませます。
「匠さん、薬が切れちゃったから咳が出始めちゃったね。咳止めを飲もうね」
と、匠さんの項付近軽く持ち上げてから水道で汲んで来た水を匠さんの口元にゆっくりと持ち上げながら咳止めを匠さんの口に放り込んで水と一緒に飲ませると、また静かに寝息を立てながら寝始めます。すると海青さんが源さんに、
「 しかし、源さん、匠さんの咳がまだ凄いね」
「うん。そうなんだよね。匠さんの咳が強く出る時にはさっきみたいに咳止めを匠さんに飲ませる様にはしているんだけど、やっぱり喉が乾くと口の中がイガイガして咳が強めに出ちゃうからなるべく匠さんが喉が乾く前に水を飲ませる様にはしているんだよね・・・」
と、源さん、海青さんにそう言うと、海青さんも
「うん。確かにね!風邪をひいた状態で咳をするとどうしても喉が乾くし、痛くなっちゃうよね!」
と、源さんが言っていた事に納得する海青さんです。そして源さんと海青さん交代しながら匠さんのタオルを濡らしている中で夕方になり、海底亭のお店に一旦戻っていた夏希さんが食材を鞄の中に入れて帰ってきました。そして縁側に干して乾いた洗濯物を取り込んでいる源さんが夏希さんに気が付き、
「あ、夏希さんお帰りなさい」
「うん源さん只今〜!匠さん変わった事はなかったかしら?」
と、夏希さん、洗濯物を丁度取り込む最中の源さんに尋ねます。すると、
「そうですね。匠さんの咳止めが切れちゃってまた強めの咳をしてたからまた咳止めと水を匠さんに飲ませたよ。今は静かに匠さんが眠っているから海青さんがみててもらっているよ」
「そうなんだ~!所で干した洗濯物乾いてたかしら?」
「うん。ちゃんとしっかりと洗濯物が乾いてましたよ。」
「じゃ、急いで匠さんのベッドに枕カバーとシーツをひいていきましょ?」
「はい、そうですね」
と、夏希さんと共に綺麗に洗って干しておいた枕カバーとシーツを匠さんのベットにすいて綺麗に戻し、源さんのベットで寝ていた匠さんに一旦声を掛けてから海青さんの背中に匠さんを乗せて、ゆっくりと元の匠さんのベットに降ろしてから匠さんを寝かせます。そして、夕方の時間になり、夏希さん、
「 じゃ、そろそろ匠さんの夕飯にするけど、お粥はこれで最後になるから食べさせちゃって明日分のお粥を作っちゃおうね。源さんもお手伝い宜しくね!」
「うん分かった。」
「あ、所で源さんお米って炊いてあるかい?」
「うん炊いてあるよ!」
「 分かった。有難う源さん」
と、言ってお粥の最後を温めていきます。そして、海青さんが夏希さんに、
「夏ちゃん?お店の冷蔵庫に閉まってある食材はまだ大丈夫だったの?」
「うーーん、取り敢えずまだ大丈夫そうな食材もあったけど、賞味期限が近そうな食材は持って来たよ」
「そうなんだ!教えてくれて有難う夏ちゃん」
と、少し照れた様にしている夏希さん。すると火に温めておいた最後のお粥が温まった所で寝ている匠さんに声を掛ける夏希さん。
「匠さん、もう夕食の時間になるけど食べられる?」
と、夏希さんが匠さんに声を掛けるとゆっくりと目が開き源さんが匠さんの上半身をゆっくりと起こします。そして匠さんの口に、
「はい、沢山さんあ~ん」
と、ゆっくりと最後のお粥を匠さんの口に運ぶと、高熱を出した初日よりも大分口を開き、動かすスピードが早くなって来たので、海青さん、
「お!匠さん高熱を出した初日より大分口を動かすのが早くなって来たな!もしかしたら明日の朝に少し熱が下がってくれるかもしれないな」
と、海青さんは思いました。そして、匠さんの夕食が終わり夕食後の高熱を下げる粉薬を水で溶かしてから口にゆっくりと飲ませてから次に抗生物質の錠剤を飲ませて上半身をまたベットに戻して寝かせます。そして、今度は、
「さてと、源さん、これから明日のお粥を作っていくよ」
「うん。夏希さん待ってました。」
と、夏希さん源さんに声を掛けると今度は源さんの回想モードに入ります。
『それは、夏希さんが海底亭から戻って来る前に遡る。
丁度、匠さんの寝顔を静かに見届けた後に、源さんの手が空いてしまったので、源さん、
「うーん、何かやる事が無いかな?丁度手が空いちゃったから暇だな」
と、1人呟きながら机の周りをぐるぐると歩いている源さん。少し流石に落ち着きが無い源さんを見兼ねて海青さんが、
「源さん、もう少しで夏ちゃんが戻って来るからお米を炊いとけばいいんじゃないのかな?夏ちゃん帰って来たらお粥を作るって言ってたしね!」
と、源さんに優しくアドバイスをする海青さん。すると、アドバイスで閃いた顔で、
「あぁ〜!お米伽があったのか!アドバイス有難う海青さん。俺閃いたよ!今からご飯洗っちゃうね」
「おう!分かった。じゃ、俺は匠さんみとくな」
「うんお願いね!海青さん」
と、海青さんに匠さんの事をお願いして、夏希さんが帰ってくるまでの間に急いでキッチンに向かい、源さん手を綺麗に洗った後に、お米を冷蔵庫の中から取り出し、お米をしっかりと量り、ザルの中でお米の水が透明になるまで水で綺麗に洗い、お米の1粒1粒が綺麗になったら、炊飯釜の中にザルで洗ったお米と水加減の量を調整すると炊飯器に炊飯釜をセットすると、炊飯器のボタンを押した所で夏希さんが海底亭から大荷物を抱えながら帰って来ました。回想終了
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