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「……でも結局、死んじゃったらわかんないんだよね」
きっと物凄く痛いか、意識なんてとうになくて気にしてる暇もない。
それに、もしかしたら誰もが自分なんて気にかけないかもしれない。
馬鹿馬鹿しい。
そもそも、結局そんな勇気、自分には最初からないのだ。
こうやってただ過ぎ行く時間の中、自分よりも価値のある人々を見つめ続ける、そんな事をしている時点で決まっている。
「さて、自分もあの人混みの一人になりに行きますか」
ほんと人の集まりと言うよりも、ゴミの集まり、って感じ。
人間なんて皆みんな、自分勝手のゴミの集まりだ。
上から見たら個性も価値も何もわからない。
自分だってこのビルを降りて一緒になって歩けば、その一部。
けれど毎日毎日、同じ事を繰り返すなんて、私が一番馬鹿で間抜けでまさにゴミのよう。
でも気付けば毎日、同じ場所で同じように人混みを見つめている。
きっと明日も私はここに居る。
あの時は、どうだった?
辛うじてあった意識の中、見えた光景で人々はどうだった?
ビルの屋上、ひっそりと置かれた花束だけが風に揺れた。
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