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「絶交よ」
えっ──面と向かって言われては、朱美は何も返せなくなった。
そもそも、彼女は何も悪くない。何がどうしてそうなったのか。混乱している彼女は、絶交を言い渡してきた和香にどう言っていいかわからなかった。
私は悪くない。どうして、こんなことを言われないとならないのか。
「もうどうでもいいや」
家に帰って、心臓がドキンドキンと揺れる。同時に心臓が痛くなるのを感じた。
「ただいまー」
朱美はいつもより神経質になりながら、いつもと同じようにリビングに来た。いつも通りが今日は、やけに難しい。そもそも、いつもどんな風に家に帰ってたかさえ、今の朱美にはわからなかった。
「おかえりなさい」
母から返事をもらっても、いつもそれに返事をしていたかどうかも困難だ。母には何も気づかれまいと、リビングにテニスバッグを置いた。
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