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朱美はその光景に心底驚いた。嘲笑され、謝罪もない。せめて、笑いながら、謝ってくれさえすれば、水に流せるのに……。彼女のなかでモヤモヤするのを感じた。
わずか13歳の彼女に解決策は見つからない。さっきは、わざとぶつけてきたのか聞く勇気もなければ、彼女らより大人になっていつも通りに接することもできなかった。
だから、やってしまった。和香と話したくなくて、避けてしまったのだ。
すると、一気に和香はヒートアップした。昨日の夜に、彼女がラインのグループでハチャメチャなことを言い出したのだ。
『ねぇねぇ、どういうつもり?』
『まじ、わかんねぇーわ』
『誰のことかわかってるよね? わかってたら、明日の朝早く来て』
『あー、ほんとありえねぇ。悪口を噂してたのに』
『謝ってきたら許してやるよ』
『ねぇ!』
『聞いてる!?』
畳み掛けるようにラインをされ、他の部員も黙っていた。
朱美はただただ呆然とそのラインを見つめた。自分が悪者にされていく瞬間にゾッとした。背中がひやりと冷えていく。
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