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結局、ないことを言われて、朱美は放っておくことにした。
謝ったら許してやるよ、はこちらの台詞だと思った。今の彼女は、いつもの和香の我が儘に付き合ってやれるほど、大人にはなれなかった。
そして、いつも通りの時間に部活に行った。もちろん、謝罪もしない。
痺れを切らして、和香が朱美に迫ってきた。ボールをぶつけたことを謝ってくれるのではないかという淡い期待は、
「絶交よ」
という言葉で、見事に打ち砕かれた。
絶交なら、それでいい。もうどうでもいい。
何も考えたくなかった。
リビングで嫌な記憶を掘り起こしていると、スマホが震えた。ラインのメッセージだ。
ブーブー。ブーブー。
しつこく鳴る。
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