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日曜日の朝だった。
徹夜で発明品を作り終えた博士は助手に行った。
「おうい、後を掃除しといてくれ」
「ふぁい……わかりましたぁ……」
生あくびを噛み殺しながら助手は返事をした。
「随分眠たそうだな」
「そりゃ博士、徹夜ですもん」
「一日や二日で情けない。とにかく、後の掃除は任せたぞ。掃除機の取り扱いにはくれぐれも気をつけてな」
「はいはい……」
博士は研究室を出て行った。
「あー、眠たい。今日は繁華街へ遊びに行こうと思ってたのになぁ……」
助手は眠い目をこすりながら、研究室の隅に置かれていた自動式万能掃除機の電源を入れた。何度も使って慣れている機械だ。博士はくどくどというが、助手はいつも聞き流していた。
四角い大きな箱のような掃除機は、スイッチを入れるとそれを示す青い光が灯った。助手はリモコンを手に取り、掃除機への命令を入力した。
集めるゴミの種類と範囲を入力すれば、後は掃除機が勝手に掃除してくれるのだ。どういう仕組みか助手は知らないが、ゴミの大小は問わず、更にいくらでも掃除してくれるから、放っておけば掃除は完了するという仕組み。
段差や扉もお構いなしなのが特徴で、ただし入ってはいけない部屋は指定できる。博士と助手の寝室は眠りを妨げられるのが嫌なので進入禁止にしていた。
博士の発明品の中では、とりわけ役に立っている。
「ええと……。今回は色々と散らかしたな。ゴミの種類は全てにしとこう。範囲は……まあ、二十メートルぐらい指定しとけばいいか」
眠い目をこすりながら範囲を指定して、それからスタートボタンを押すと箱はゆっくりと動き始めた。
そのまま助手は研究室を後にした。
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