274人が本棚に入れています
本棚に追加
ため息をついた保はみちるの髪をそっと撫でた。
「なぁ、星児」
ふいに真顔になった保を、タバコをくわえたまま星児は見る。
「その、御幸って男に、本当にみちるを?」
「まだ分かんねーよ。とりあえず、みちるに会うってよ」
保は怪訝な顔をした。
「みちるを知っているんじゃないのか? みちるの父親は曲がりなりにも津田家の人間だろ。御幸が知っている可能性は大だろ」
星児は頭を掻いた。
「そこが分かんねーんだよ。その、みちるの父親ってのは私生児なんだろ?
津田家で何処までその立場を認められていたか、とか、逃げるみてーに東京から去ったのは何故か、いつか、とかよ。
少なくとも、みちる自身は自分があの津田家の人間とはまったく知らねーみてぇだろ。
この前、みちるの前で津田グループの話を俺達がしてみたけどよ、まったく反応しなかった。
コイツは嘘つくどころか隠し事も出来やしねぇ。
本当に知らねーんだ」
最初のコメントを投稿しよう!