御幸右京という男

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 ため息をついた保はみちるの髪をそっと撫でた。 「なぁ、星児」  ふいに真顔になった保を、タバコをくわえたまま星児は見る。 「その、御幸って男に、本当にみちるを?」 「まだ分かんねーよ。とりあえず、みちるに会うってよ」  保は怪訝な顔をした。 「みちるを知っているんじゃないのか? みちるの父親は曲がりなりにも津田家の人間だろ。御幸が知っている可能性は大だろ」  星児は頭を掻いた。 「そこが分かんねーんだよ。その、みちるの父親ってのは私生児なんだろ? 津田家で何処までその立場を認められていたか、とか、逃げるみてーに東京から去ったのは何故か、いつか、とかよ。 少なくとも、みちる自身は自分があの津田家の人間とはまったく知らねーみてぇだろ。 この前、みちるの前で津田グループの話を俺達がしてみたけどよ、まったく反応しなかった。 コイツは嘘つくどころか隠し事も出来やしねぇ。 本当に知らねーんだ」
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