終章『瑠璃色の空を見上げて(前編)』

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「じゃあなリスー。」 「メメメ〜!」 チューショクノアト。 オウコハ、エスティマークノ“毛玉”をノコシ、ツレカエッテイッタ。 「ウー?」 …コレデナニヲ作レバイイカ、ワタシニハワカラナイ。 「ウッウッウーウーウーウ?」 「また王子からプレゼント貰っちゃったね♪好かれてるね☆ で、リズはプレゼント返ししたいけど何を作れば良いか分からない、王子が何を受け取ってくれるか分からないと。」 「ウー。」 「うーん…返さなくて良いんじゃないかな?」 「ウッ?」 「だって、王子は何を作れとも返せとも言わないでしょ?」 「ウー…」 「昨日だって嫌がりそうな仕事をリズとミエルちゃんとちゃんとやってたじゃない。 それって楽しいからだと思うな。そうじゃないとやらないと思う♪あの人はそう言う人だよ☆」 「同時に、多分無意識的にリズにも自分と同じように人生を楽しんで欲しいと思ってる。 だから、色々プレゼントをくれるんじゃないかな?」 「ウー?」 「それでもリズがプレゼントをしたいんだったら、ボクと料理でもする?♪ それなら王子も食べてくれると思うし、美味しい地球のパンのレシピを開発したんだよ☆」 「ウー…♪」 「じゃあ、ボクの家行こっか☆あ、毛玉も忘れずにね☆」 「ウッ☆」 「じゃあピタパン作り開始〜☆」 「ピタ?パン〜☆」 「ピタパンって言うのはね〜♪前に作ったカレーパンやサンドイッチみたいに中に具材を詰めるものなんだ☆」 「ウーー☆」 「じゃあ具から作って行くから…そうだ、リズは綾取りで時間潰しててくれるかな☆」 「アヤトリ〜?」 「綾取りって言うのはね〜…♪」 テレビ(エアディスプレイ)を付け、教育用の番組から綾取りについて検索し、リズに見せる。 「ウ、ウ〜…?」 「ふんっ♪ふんっ♪ふん…♪」 ジェッタ肉と言う地球の豚肉に似た食感の肉に塩と油なんかを使って豚肉っぽい味にして行く。 「ふん♪ふん♪」 ジェッタ肉を人数分にスライスして行き、油で揚げる。 「えいっ☆」 魔法でミニトマトとレタスを出す。これで後はピタを作るだけだ。 「リズ〜?」 「ウッ?」 「お♪これは見事な…菊の花かな?」 思わず雅を思い出してしまった。──菊花(キクハナ) (ミヤビ)。ボクの大事な、もう1人の分身にして相棒…。 「ウ〜♪」 「よしじゃあ改めてピタパン作りに戻ろうか…♪」 「ウ、ウ〜?」 ブルーの菊の花で塞がった両手を見せるリズ。…あはは、作ったは良いけど壊すのが勿体無いのが綾取りの欠点だった…忘れてた♪ 「これをこうして…はい♪手を放して良いよ☆」 「ウ〜?」 「うん♪本当☆」 「ウー…ウェイッ!」 ルリーアで作ったコルク風のボードに構築魔法で作った針を刺し、菊の花の形のまま糸を固定する♪ 「オー…」 「貰わないかもだけど、後で王子にも見せに行ったら?☆」 「ウッ☆」 「じゃあピタパン作り開始〜☆」 あれ?2回目? 「ウーー☆」 まぁいっか☆ 「先ずはコテとハニミソを用意するよ♪」 「ウー…コテパンー?」 「うん♪それだけだとコテパンになっちゃうから小麦粉を混ぜて中和する感じ☆」 「チューワー?」 「あはは♪やってみた方が早いかな☆」 「ふん♪ふん♪」 「ウッ☆ウッ☆」 2人でパン生地を捏ねて行く。約直径10cm、ピザのように薄く丸い形になったら、注射器を使って酸素を注入して行く。 「ウー…」 異世界人でも注射器はこわいのか…ふふ♪ 「じゃあオーブンで焼いて行くよ☆」 「ウー♪」 「ふふ…♪」 「ウー…♪(ブン、ブン)」 2人でレンジの中を見つめること数分。 「…そろそろかな。」 「ウッ?」 「出来上がってからのお楽しみ☆」 「はい、ピタ完成〜☆」 「ウオー…」 焼く前は直径10cmだったのが20cmになっている。それに何より目を引くのはその形状。 例えるならどら焼きのように膨らんだ形となっている。勿論中には空気しか入っていない。 コテとハニミソのお陰で本来のピタパンとは少し違ったパリパリの感触のピタパンを包丁で3等分にする。 「ウオー…ジュルリ。」 「まだ早いよ♪具を詰めて完成だからね☆」 ポーク…あ、豚カツか。をレタス、ミニトマトと共に空洞の中に詰めて行く。 「ウ〜☆」 食べにくそうな真ん中部分はボクのとして。 「はい♪ピタパン完成〜☆」 「ウオーー!☆☆」 「ふふ…♪エキサイトし過ぎ☆」 「エキサイエキサイ?」 何故2回言った。 「じゃあ王子の家までは行けるね? 着く頃には冷めてるだろうから向こうで温めて召し上がれ☆」 「ウ〜☆」 「うん、またね♪あ、そうそう綾取りも忘れずにね☆」 「ウッ!?」 持ってて良かった(通称)レジ袋。 「じゃあね〜行ってらっしゃ〜い☆」 「ウーー!」 走って行っちゃった…ふふ☆ ──タクロン7、ちょっと前。 さて今日は何を食べようかと首を捻り、ゼリー飲料と皇産のキュウリでも齧るかと決まった頃。 ピンポーンと軽快にドアチャイムが鳴る。エアディスプレイに映さなくとも分かる。皇かリスだ。…皇だと良いな、と思った自分を心の中で殴りつつ。 「入れ。」 「ウ〜!☆」 何だリスか…ん?何だその意味深なレジ袋は。 …世にも珍しい(と思う)青い菊の花をテーブルに飾り、ピタパンとやらを頬張る僕とリス。 「ウ〜☆」 「美味ぇぇ…」 ただのサンドイッチかと思ったら目を剥く程にそれは美味かった。 何て言うのかな。食パンやバゲットはそのまま食べることを考慮してるのに対し、 こちらは具材を入れるのを前提としている感じ? ピタパンが具材をふわりと包んで、その中で食材が踊る。野菜、肉、パンのコラボがどんどん食欲を唆る… ──あっと言う間に完食してしまった。結構なボリュームだったハズだが。 「ウー♪」 尻尾を振って喜ぶリス。犬か。 「ウー…アヤトリ、イルー?」 「あやとりか…」 暇潰しにはなるかも知れない。…やるか?いや、やらないな…菊の花を飾るのにも飽きたし。 「要らない。」 「ウー!?オウコ、ナニホシイー!?」 「さぁな♪」 さぁ…僕は何が欲しいんだろうな? ──ヤハリ、オウコニプレゼントヲスルノムズカシー。 エスティマークノビフォートアフターヲエスティマークノ“毛”デ作ル。コレモオウコハモラッテクレナイダロウカ… ──ヤッパリ“アレ”トタベモノシカモラワナイノカモシレナイ。 「パパー、アレ作ッテー♪」 「ああ、分かったよ。」
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