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──TC8G18。
タクロン2頃。今日ハイツモヨリハヤク目ガサメタ。
パパガオキルマデノアイダ、“本”ヲ読ンデ時間ヲツブス。
「ウ〜…♪」
アンナページ、コンナページ。色ンナ“思イ出”ガイッパイダ…♪
ソウシテツギハパパニツクッテモラッタ“アレ”ヲ起動スル。
ウー、イイデキダトオモウ…☆
ソンナ風ニスゴシテイタラパパガオキテキテ、アサゴハンヲタベル♪
「…ウ?」
アサゴハンヲタベオワッタラ、通信機ニ着信ガキテイタ。
「ウ?スメラー??」
『おはようリズ☆
毎度ご飯モノで申し訳無いけど、レパートリーが増えたから王子も誘って食事会としようよ☆』
「ウーー☆」
今日ハドンナ思イ出ダロウカ☆
PXRON地区、皇の家。
…の前でリスと出会う。
「ウ!?オウコーオハヨウー☆」
「…ぁあ、おはよう。」
リスの頭の上にぽんと片手を置き、ドアチャイムを鳴らす。
「いらっしゃ〜い☆」
現れたのは気色悪い笑みを浮かべるドッペルゲンガー擬き。まぁそれはさておき、美味しいご飯をいただく為に僕達は皇家へと足を踏み入れたのだった。──
「王子って辛いのイケたよね?」
「カライ、ウマイ〜。」
「…まぁ行けるな。」
やばい、こいつの魔法は快楽物質まで生成するのか?リスが中毒にならなければ良いが…。
(辛いものを食べると病みつきになってしまうのは人の脳が苦痛を和らげようと快楽物質を出すからだと言う。)
「で、今度は何を作ったんだ?」
「えへへ…♪」
と言い、作り過ぎて新しく買うことになった小さめの冷蔵庫のドアを開ける。
…いや、冷凍なら兎も角、ここタッドルで食材を冷蔵する意味は冷たい飲み物が飲めるくらいしか無いんだけど。
──兎に角、そこに並んでいたのは。
王子「タバスコ!!」
「タバ…スココ?」
「うん、カレーも大分仕上がって来たし、辛い系にチャレンジして行こうと思って。
ほぼ植物由来だけで作れるから色々作ってたら冷蔵庫一杯になっちゃった…♪」
「マッドサイエンティストかお前は…。」
「あはは…♪」
マッドなのは認めるけどね…♪
「カ、カラッ!!イタァ!?ホォオオオアッ!!」
…まぁそのまま舐めればそうなるわな。水飲め水。
「…まさかタバスコだけ食えって訳じゃあるまい?」
「勿論♪
イタリアンにもタバスコは欠かせないからね☆これで味わいの幅がまた1つ広がったんだよ…☆」
「…広げ過ぎじゃないか?」
冷蔵庫一杯に詰まったタバスコの数々を見ながら。
「…うん、まぁ広げ過ぎちゃったかも…。」
…そう言って取り出したボトルに貼ってあるラベルは。
「デスソース…だと…!?」
「ウ、シヌー!?!?」
「いや死なないから☆」
「いや人に依っては地獄の苦しみだろ…」
──こいつの味覚は上の上だと思っていたが、どうやら辛さにおいてはその限りでは無かったようだ…。
「取り敢えずピタゴン肉のハンバーグ、デスソース掛け。召し上がれ☆」
「…。」
ごくり。
「ウー!☆」
「…おい、お前毒味しろ。」
「毒なんて入れてないよ!!もう…
あーんっ♪うんっ、美味しいっ☆」
…どうやら嘘は吐いてなさそうだな。
「すー…はぁあ。…いただきます。」
「ウワー!(ガツガツ食ってる)」
「辛ぁあああ!!!水!水!水!(涙目)」
「ホワァアア!!!ワァアアアアオ!?!?!?」
…言わんこっちゃない。
白百合 皇の辞書に『程々』と言う文字は載っていないと深く学習した僕だった…。
「あはは…何かごめんね?失敗しちゃった…」
「デスソースだけは二度とご免だ。」
「ウー…」
「お詫びにと言ってはなんだけど、スイーツ作りとかどうかな?」
「…今度は甘くし過ぎるなよ。」
「うん♪多分口に合うと思うな☆」
「先ずは小麦粉で作ったホットケーキミックスを用意するよ☆」
「まずはの下準備がバッサリカットされてるな。」
「次に小豆で作った餡子を用意するよ☆」
「餡子まで作ってたのか…ん?もしかして」
「多分正解☆どら焼きだよ〜☆」
「ドララ〜?」
「…やっぱりか。早く作ろうぜ、まだ口の中が燃えてる感じがする。」
「うんそうしよっか☆」
…いっつも涼しい顔しやがってからに。
「先ずは生地の材料だよ☆」
ホットケーキミックス、砂糖、ハチミツ。擬似卵黄、卵白。アジルラ飴。そして食用オイルの7番か。
ふむ、こんな材料で出来てたんだな、どら焼きって。
「餡子はもう粒あんにしてあるけど王子はこし餡派だったり白あん派だったりする?」
「どら焼きと言えば小豆粒あんだろ。」
「ウ〜?」
「了解☆じゃあ調理して行くよ〜☆」
「ウ〜☆」
「おー。…辛っ」
「ウ〜☆」
「ふふ♪」
ボウルに卵、砂糖、ハチミツを入れ、ルリーアで作った泡立て器で掻き混ぜて行く。
そこに溶かしたアジルラ蜜を投入し更に掻き混ぜる。
「ここまで来たら、ホットケーキミックスを加えて粉っぽさが無くなるまで混ぜ合わせて行くよ〜☆」
「コナ…ポイ?」
「僕が見てやるから。」
「ふふ♪」
皇キモい。
忘れて来たところで食用オイルの7番を投入だ。これは日本のみりんに似た味わいを持たせる甘じょっぱい調味料だ。
「じゃあフライパンに、これくらいの生地を入れて焼き上げて行くよ〜☆」
そう言って皇が取り出したのはおたま。同じサイズのものをルリーアでリスの分も作ってやり、言われた通りおたまの半分くらいまで生地を掬う。
「フライパンに油を引いて。酸素をたっぷり注入して、生地の表面にぶつぶつと気泡が出来て来たら裏返すよ☆」
「ウ、ウー?」
皇が片手で軽く引っくり返したのを見て真似しようとするリス。
「ほら、菜箸でこうやって引っくり返すんだ。」
「ウ〜☆」
出来た〜!と言う喜びなのだろう。一々細かい奴だ☆
2枚ずつ、計6枚の生地が焼き上がった。後はこれに餡子を挟むだけなのだが…終わってみると少し物足りないような気もして来るな。
「はい、どら焼き完成〜☆」
「ウ〜☆」
「おー。」
「ところで飲み物は緑茶で良いかな?味覚設定だけど。」
「どら焼きと言えば緑茶だろ。
…どれ。ルリーアで湯呑みでも拵えるか。」
「じゃあ無味無臭の着色料で☆」
緑茶、完成。
3人でソファーに座り、どら焼きを齧る。そして緑茶をゴクリ。
「ふー…やっぱ日本人と言えばどら焼きと緑茶だな。♪」
厳密に言うと僕らは日系人に当たるが。
──家ニカエルトタクロン5ダッタ。パパニゴハンハタベテキタト伝エテイスニトビノリ、“本”ヲヒラク。
今日ノコトヲ本ニカイテイク。
「ウー…♪」
今日ハアマイ思イ出トカライ思イ出ガデキタ。
サア…明日ハドンナ思イ出ダロウ?♪
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