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…石の森を潜り、街へと歩く。
「はー…」
風も冷気も感じない。と言うよりあって無いようなものなのだろう。…この星にいるとどうにも喉が渇く気がする。
…いや、生前もそうだったか♪
「フ…♪」
生前…ねぇ。
…一体僕は何時死んだと言うんだろうな?まるで狐に摘まれた気分だよ。
…何時ものように戦って、何時ものように夢の世界を歩いていたと思ったら気付けばこんなところにいた。
「…。」
目を閉じて、「目覚め」のシーンをリプレイする…。
──ん…?
「…。」
…何だここは。
僕は…椅子に座らされて、よく分からない存在に取り囲まれている。
…見たことも無い衣装を着た、サヤエンドウみたいな頭をした白衣の連中だ。…僕の玉座、家臣で無いことは確かか?…狭い。近い。頭が高い。
…いや、分かる…。 「ワルキューレ」。「タッドル」。…頭の中に情報が流れ込んで来る…。
「…。」
…流石にこの情報の波と、相手の戦力も分からない状況で戦うべきでは無いと考え、ぼんやりと開けた目を閉ざす。
「…?これは敵対の意思か?」
「やはり不適格な人格だったのでは?」
…何だと?…どうやら狸寝入りはバレているらしい。
「…はー…ごちゃごちゃと喋るな。頭に響く…。
お前達は敵か味方か?ここは何だ?…お前達がすべき発言はそれだけだ。」
…これはもしかしてあれだろうか。UFO…こいつらは宇宙人ってことか?…この部屋には何処にも地球らしさが…いや、何やらケーブルが足元に散らばっている。…ここは何処だ?何なんだ…?
「どうやらデータに問題が…」
「…。」
白尽くめの異星人Aを睨み付け、何かボタンを押そうとしたBの腕を魔法で切断する。
「…ーッ!」
部屋の異星人は4人。四肢で壁や床に抑え付け、Bの体を足先で舐めるように触り、反応で急所を探りつつ話を続ける。
「…聞こえなかったか?僕は質問に答えろと言ったんだ。言葉通じてますかーっ?ぁア?」
邪魔だから1人を残して他の奴らは潰してしまうか?…そう考えたところに、背後から何者かが歩み寄った。
「君の性格は熟知している。我々…“タドルス”は君に敵対する者では無い。君の力を認め、戦う為に力を貸す者だ。」
「…戦い…?」
良く通る声で耳に心地良いワードが降り積もる。…僕を知っていると言うのは本当らしい。
「…。」
──男(恐らく)は4人と違い、地球人のような顔で制服らしきものを着ていた。…頭や口元には毛が生え、服にはファーが配われている。
…他の連中の頭はどうやらヘルメットのようだ。ここだけ感触が違う。
「…ほぉ?差し詰め、僕の力が認められ、この『異世界』にお呼ばれしたってところかな?」
「その通り。記憶データのインプットに問題はあるかね?」
「…ノープロブレムだ。」
頭ん中ごちゃごちゃしてちょっと気持ち悪いけどな。…悪くない。
「君は優れた力を持つ、選ばれた戦士だ。どうかその力を使い、この世界に迫る脅威を打ち砕いて欲しい。」
こいつはどうやら『王国』のトップ…つまりは“王様”のようだ。…それが膝を突き、僕に頭を垂れている…♪
「…ふん♪」
王とやらがどれだけのものかは知らんが…一先ずご機嫌取りは一流だ。そう言う優秀な人間を切り捨てる程僕は無能じゃない。
「君の存在は、この星に取っての希望となることだろう。…今後の活躍に期待しているよ。」
…こいつ今笑ったか?
…まぁ良いや。僕は世の為人の為になんか生きるつもりは無い。
「ぁあ。大いに期待して置くが良いさ。この世界は僕が救ってやる…!」
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