序章『パンは投げられた』

11/21
前へ
/109ページ
次へ
「…♪」 「おいくっつくな…!」 「…ふふ♪」 抱き着かれて戸惑ってる王子と、尻尾を振り振りして喜んでいるらしい女の子♪…ちょっと羨ましい。 「何だかすっごい懐かれてるね?♪仲良いの?」 「さっき会ったばっかりだ。」 「え、まじで?」 「パン、カッテモラッタ…」 「成程…?ところで、どうしたの?そんなにパンいっぱい買って?パーティー?♪」 「お前は面倒臭いから首突っ込むな。」 「面倒臭いって…」 「パン屋の女がムカつくから買い占めてこいつにくれてやっただけだ。」 「…え?どう言うこと…?」 「分からなくて良い。じゃあな。」 「ウー…」 …街に帰ろうとする僕のジャケットを獣人が掴む。犬か何かか、全く… 「はー…何だ?」 あと、男装女がニヤニヤしているので蹴りをくれてやりたい気分だ。 「…パーティー、スル…」 「は…?」 「パーティー、キテ。?」 「…ふー…」 王子が『また余計なことを』と言うようにボクを睨む…ふふ♪じゃあ黙っておこうか?♪ 「はー…まぁ良いや。ほら、案内しろよ。つれてけ。」 「ウー♪♪」 「はっ…」 「ふふ…♪」 何今のちょっと嬉しそうな溜め息♪どうやるんだろうね?ぁははっ☆ 「ウ〜…♪」 楽しそうに…お嬢さんがパンのいっぱい詰まったベビーカーを押して早足で歩く。 「…ふふ♪」 まさか車や自転車は通らないと思うけど、念の為に少女の前を歩くことに。 「はー……。」 王子は立ち止まって一旦別の方向を向き…結局こっちに戻って来た。…本当、素直じゃないんだから♪ 「あー…」 何で付いて来ちまったかなぁ…ほっとけば良いのに。…ふぅ。ま、こうなったもんは仕方が無いか。 「ほら、片手どけろ。」 「ウ?」 1つのベビーカーを2人…2人?で押す。こうした方が歩きやすい。 「ウー!♪」 「だからスピードを落とせって。」 「ウー?」 「…ふふ…♪」 さっきから五月蝿ぇな男装女。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加