序章『パンは投げられた』

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口の中にゼリー水を含み。 …目を閉じて街を歩く。 どうせ歩く人間なんてそうはいないんだ。きっとこの方が良い。僕は真っ直ぐ歩く。 …こうしているとまるで死んだみたいだ。いや、死んだらしいんだけどな? …生前は生きてる実感があったか怪しいものだが、死んでからそれを感じるとは何とも皮肉だ。…まぁ、ここの連中よりはましだろうな。 「ん。」 「ガッ…!」 足音がして振り向くと、何か…リスにぶつかった。…転んでいる。スカートは無事だ。 「…何してんだお前。」 「イタイ…タテナイ…。」 「…。足でも折れたか?」 「シッポ打ッタ…イタイ…。」 …そう言うものなのか?…リスの表情は(> <)な感じになってるが。 「無いから分からん。」 …見て良いものなのか…?// …仕方無い、獣医(白百合 皇)でも呼ぶか…。呼びたくねぇ…!! 「ウー♪」 「…。」 回復魔法が使えることをすっかり失念していた…まぁ治って良かったよ、うん。 「じゃあな。」 「ウー!」 「…何だ。」 リスが腰に抱き着いて付いて来た。 「ウー…」 「…何なんだよもう。ウーじゃ分かんないだろ?」 「ウー♪」 …成程気に入られたのか。何でだ……いや、待て何で言葉が分かった。ウー!? 「…お前友達はいないのか?」 …いや、そうか友達って言っても分かんないのか。面倒臭ぇな…。 「ウー…トモダチ!」 「…何だ?」 「トモダチ、テヲツナグ。パパ、イッテタ。」 「…はいはい。僕はあなたの友達ですよっと。ん。」 「ウー♪」 「…ふー…♪」 「ッ♪ッ♪」 リスは尻尾をブンブン、手をブンブン振っている。 「…ふ♪」 …何だろうな。僕は何を求めているんだろうか? …今はまだ、求めるものは分からない。…ただ、壊したくないことだけは分かる。僕はそれで良い。そんな気がするよ…。 「…オウーコ?」 「伸ばすな。王子だ。」 て言うか今、人の名前にウーを混ぜなかったか?ぁあん? 「オウ…コ。」 「ぁあ。」 「ドコイク……ノ?」 まるで最近言葉を教えられたように女子っぽさを付け足す獣女。 「…。おい、どっかつれてけ。」 「ツレテケ?」 「…この星はタッドルだろ?僕は地球って星から来た。…何処へ行けば良いか分からないんだ。」 「マイ…ゴ。」 「…ぁあ♪」 むかつく表現だが、それで良い。とりあえず右。次左。道は探すさ…♪
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