序章『パンは投げられた』

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ボク「…はっ!やぁあ…っ!!」 王子「ふっ…!オラァアアアッ!!!」 …王子と背中合わせで、ただ目の前の敵を打ち砕いて行く。 ボクの武器は大槍(ランス)。王子の武器は…何だろうね?(本人はムーンアックスって言ってたけど。)先端に三日月型のエッジと謎惑星型の槌の付いた槍のような武器だ。 …ボク達が元いた世界は別々だけど、どちらも「地球」と言う惑星で、そこには“魔法使い”と呼ばれる人間や“霧の魔物”と呼ばれる生物がいたことが共通している。 …今僕達が相手にしているのも魔物だけど、こちらは“塵の魔物”って感じかな…王子が聞いたらセンス無いって言いそうだけど。 …この世界の魔物は倒すと、キューブとかブロックとか呼ばれる黒い結晶に変換されてバラバラになる。 この“キューブ”が生物で言うところの細胞のようなもの、と言うことらしい。 …そして、バラバラのキューブになると魔物は死ぬ。霧の魔物のように集まって復活したりはしない。 「うぉおおらァッ!!」 「!?っく…!」 …一瞬目を離した隙に、王子がボクに向けてムーンアックスを叩き付けて来た…!連携する気ゼロだなもうっ!? 「…はっ!…!?」 投げた槍が魔物を仕留めたのを確認しつつ、王子の攻撃を受け流して魔物にぶつける。…王子の背後にはもう1匹の魔物が…! 「…くぅっ!…ふっ!?」 王子を狙って襲いかかって来た魔物がボクに向かって牙を剥き、それを慌てて殴り倒して王子の姿を追う…! 「はぁあっ!おらっ!!ははっ!♪」 「…。」 …うわぁ…。 たった今までボクの命を狙ってたのに、何食わぬ顔でまた味方に戻ってる……ぁはは、ほんと気分屋さんなんだから…♪ ──まさか、自分を囮にして魔物にボクを攻撃させて来るとは…恐ろしいなぁ…。命を狙われるのにはもう慣れてるけど、今のは予想外だった…。 …って言うかこれ、ボクの影響かなぁ…。…はぁ。何か申し訳無い… 「ふ…っ!はっ!るぁぁっっ!!」 魔物の首を蹴り飛ばし、胴体を踏み台代わりに蹴り砕き、牛のような魔物に杖を叩き付ける! …“ブロック”が血のように魔物の体から溢れ出し、飛び散る。 「…はっ!遊びにもならねぇ…!」 「王子!まだ魔物は千匹も残ってるよ!!」 「そんなもん…!物の数にも入らねぇさっ!」 王子がムーンアックスからビームを放ち、ボクの後ろにいた魔物を砕く…もう、仲良くしようよー…。ね…?
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