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あの傲慢な、Ωを玩具としてしかみなかった父が、そのΩの一人に刺され呆気なく亡くなった。 弁護士の話しでは、父は番にしたΩの誰とも籍を入れなかった。ボク以外に子供はいない。遺言書も見つからず、何十億という遺産はすべてボクが相続することになるらしい。 「父のΩなんてボクは一切興味ない。全員さっさと追い出して」 『少しぐらい当面の生活費くらい渡されても』 「その必要はない」 ボクの母は、嫉妬に狂った他のΩたちに陰湿ないじめを受けて自ら命を絶った。ボクもそれと呼ばれ父やΩたちに虐待され、育児放棄され、6歳までたった一人で生きるしかなかった。 これだけの仕打ちを受けてきたんだ。 今更、許そうとは思わない。 「仕事、行かないんですか⁉」 昼近くになっても布団の上で裸でいちゃつく二人に痺れを切らし声を掛けた。 「休んだ。お前こそバイト行かないのか⁉」 「急用が出来たので父を返して貰えませんか⁉」 「急用って何?」 「あなたには関係ない」 「父親に向かってそういう口のきき方ないだろ⁉」 交合の邪魔をされて苛立ちを露にする男。 「激しいっ、あっ・・・ん‼あぁぁ・・・」 あなたの腰を抱き抱え直すと、ずんずんと容赦ない突き上げをはじめた。 この男も父と同じケダモノだ。 どこまであなたを汚したら気が済むのか。 今、助けてあげるから、待ってて。 通話中だったスマホを耳にあてた。 それから一分と経たず、黒ずくめの男たちが家の中に雪崩れ込んできた。 父の遺産なんてこれっぽっちもいらない。 ボクが欲しいのはあなただけ。 誰にも邪魔されない場所で一生あなたを飼ってあげるよ。 それならもう二度とボクを裏切らないでしょう。ボクだけを愛してくれるでしょう。 ねぇ、パパ。
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