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4211号室の片付けを終え、大沢は監視室にもどった。
布団と枕とシーツはクリーニングに出し、使用済みの下着と靴下は燃えるゴミに出す。他の私物は処分して、1番のベッドを空けた。差し入れは他の囚人たちが分けていたので、手がかからなかった。
「主任、4307号室で、ちょっと」
監視の声に、大沢は壁のモニターを見た。
4棟の3階は女の死刑囚たちの部屋がある。画面には、1人が寄って集って虐められている様子が映っていた。
女は腕力が弱いから、イジメはねちねちと続くばかり。なかなか死体を作るところまでいかない、
刑務官は囚人間のトラブルに介入しないが原則だ。が、いつまでも決着のつかないケンカは、やはり困りものだ。
「あれは・・・入ったばかりの子だな」
大沢は手元のマウスを操作して、机のモニターに囚人のデータを表示した。
1回、2回、頭を揺らした。手で膝をうち、立ち上がった。
「4211号室に新しい布団と枕を!」
大沢は2人の部下を連れ、4307号室へ来た。
ドアを開けると、中の女たちはベッドでしおらしく迎えた。
「43075番は部屋を移動する。準備せよ」
大沢の言葉に、5番のベッドで布団が動いた。左目にクマを作った顔が出てきた。
「布団は後ほど始末する。私物を持って出て来い」
大沢はドアを開けたまま、廊下に出て待つ。
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