5. 男の道、女の道

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 山下が手と首を振った。 「おれ、父親にはなれない。子供ができても、先天性梅毒なんてなったら、かわいそうだ」 「それを言うなら、自分もです。先天性エイズなんて、シャレにもならない」  高蔵と山下は顔を見合わせ、笑みを交わした。 「梅毒・・・エイズ・・・」  江波は2人をちらと見て、ふう息をついた。この部屋で輪姦の危険は無さそう、そこは理解できた。  残る3人の男に目をやる。9番の老人は考えなくて良いだろう。 「決めたっ! あたしは生きるぞ、腹の子を利用してでも。産めるだけ産んで、生きられるだけ生きてやる。さあ、誰が種付けするの?」  坂口と須賀原は目を合わせた。  うむ、と須賀原が頷き、坂口を指した。 「こういう場合、やはり若い方が良いじゃろう。少しでも若けりゃあ、それだけ精子の元気が良いだろうし」 「おれが・・・するの」  坂口は自分を指して、口が開きっぱなしになった。 「さあさあ、種付け始めよ。石にかじりついても、股おっぴろげても、あたしは生きるんだ」 「最高齢の出産記録は60歳くらいのはずだ。そこまで産み続けられたら、最初の子供は成人してる。減刑嘆願くらい出してくれそうだね」  高齢出産の記録は多い。日本では60歳が最高齢だが、海外では66歳での出産がギネス公認の記録だ。70歳を越える出産記録もあるが、生年月日が不正確として、ギネスが公認していなかったりする。 「今から60まで・・・30人くらい産むのか。人数でギネスに載りそう」 「がんばってくれ、お母さん。おれが協力できるのは、最初の1人だけだ。毎年、協力してくれる男を確保しなくちゃな」 「そう・・・そうだったね」  坂口と江波は肩を抱き合った。  まだ、外は明るい。種付けは消灯時間が過ぎてからだ。
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