夏祭り

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夕食時の今、そこには長い列ができている。 2歳児の重さは最初こそ大したことはないが、時が経つにつれ、ずっしりと肩や腰に響いた。 “子泣きじじい”ってさ。昔の人は、よく考えたもんだよね。 今、すっごい実感沸くもん。 あーあ、こんな時に男手があったなら… 一瞬考え、大きく首を振る。 あー、もうっ。 忘れろ。 過ぎたことだ。今無いものを、思い出しても仕方ないじゃないか。 私が首を振ったことで髪の毛が目に当たったのか、大人しく抱かれていた五月は、目をゴシゴシ擦っている。 「ああ、あたっちゃったね、ゴメンゴメン」 独り言のように言い、目を擦るのを止めさせようと、紅葉サイズの小さなお手てを片手で握った、 その時だ。 「まー、ぱーっ、ぱーっ!」
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