55人が本棚に入れています
本棚に追加
夕食時の今、そこには長い列ができている。
2歳児の重さは最初こそ大したことはないが、時が経つにつれ、ずっしりと肩や腰に響いた。
“子泣きじじい”ってさ。昔の人は、よく考えたもんだよね。
今、すっごい実感沸くもん。
あーあ、こんな時に男手があったなら…
一瞬考え、大きく首を振る。
あー、もうっ。
忘れろ。
過ぎたことだ。今無いものを、思い出しても仕方ないじゃないか。
私が首を振ったことで髪の毛が目に当たったのか、大人しく抱かれていた五月は、目をゴシゴシ擦っている。
「ああ、あたっちゃったね、ゴメンゴメン」
独り言のように言い、目を擦るのを止めさせようと、紅葉サイズの小さなお手てを片手で握った、
その時だ。
「まー、ぱーっ、ぱーっ!」
最初のコメントを投稿しよう!