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ぐったりとドアに身を預け、海は肩で息をしていた。
前はもう硬く大きく張り詰め、いつ吐き出してもおかしくないような状況だ。
「ね。イきたい?」
男が、ねちっこい声で訊ねてくる。
海は、ぎゅうと眼を閉じ、最後の意地で拒絶した。
「だ、誰がッ!」
あ、そう。
男の手はそれっきり、するりと去って行った。
「あ……」
つい、名残惜しそうな声を出した海は、耳まで赤く染めた。
「おじさんに会いたくなったら、またこの車両に来てね」
男の気配が、背後から消えた。
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