永亮と僕とサッカーと

9/34

80人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
 海は女子制服に着替えながら、昨日のことを思い返していた。 『おじさんに会いたくなったら、またこの車両に来てね』  ぶるっ、と震え、首を振る。  だが、それだけで身体が疼きだす。 「どうかした?」  永亮が、声をかけてくれる。  永亮が。  永亮が、そばにいてくれれば……! 「ね、永亮。今日、部活休めない?」  一緒に電車に乗って欲しい、という海に、永亮の返事は残念だった。 「今、レギュラーメンバーの選抜時期なんだよ。ちょっと、厳しいな」 「そう」  いいんだ。  永亮は、僕よりサッカーの方が大事なんだから! 「バイバイ!」  早口で言い捨てると、海は一人で教室を出て行った。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

80人が本棚に入れています
本棚に追加