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海は女子制服に着替えながら、昨日のことを思い返していた。
『おじさんに会いたくなったら、またこの車両に来てね』
ぶるっ、と震え、首を振る。
だが、それだけで身体が疼きだす。
「どうかした?」
永亮が、声をかけてくれる。
永亮が。
永亮が、そばにいてくれれば……!
「ね、永亮。今日、部活休めない?」
一緒に電車に乗って欲しい、という海に、永亮の返事は残念だった。
「今、レギュラーメンバーの選抜時期なんだよ。ちょっと、厳しいな」
「そう」
いいんだ。
永亮は、僕よりサッカーの方が大事なんだから!
「バイバイ!」
早口で言い捨てると、海は一人で教室を出て行った。
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