スタンド・バイ・ミー

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明け方、清水寺の鐘が鳴っている、と聞いたことがある。
一度眠ると朝のチャイムが起こしにかかるまで目覚めない私は、今日はじめてその鐘の音をきいた。淡いむらさき色の空を、家々の上を、音の波紋が広がっていくのを想像する。ずいぶん遠くまで来てしまったと、途方もない気持ちになった。こんななんでもない自分の目の前にしあわせがあったというのに、どうして大切にできなかったんだろう。

私はもう戻れないところまで来てしまったのだ。