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見上げた空は澄んでいて、傷ついた私を受け止めてくれる。その優しさに縋りたい。
だけど!
「夜詩さん、聞いてください!」
「帰れ」
「えぇ…私あの、夜詩さんと仲良く…」
「帰れっつってんだよ!」
だいこく様、手強い。だいこく様をこんなところに置いていくなんて気が知れないけれど、あえなく撃沈した私はとぼとぼと彼に背を向けることにしたのでした。
少し歩いたところで、私は遠くに見えるお二人を振り返った。何かを話しているようで、やはり遠目に見ると浮世離れしている。
私は知らなかった。その時、彼らが語っていた、重大な事実を。
「お前って本当に人当たり悪いな。そんなのでよく宮司が務まると思ったな」
「だから戻ったのか?俺じゃ務まらないと思って!そうだろ!」
「…神迎えは俺達でやらなきゃいけない。先代のようにならないために」
「一人だから無理だった。そう言いてぇのか。変わらねぇよ、恵陽者が何人束になっても、誰か必ず死ぬ。それを奴らは望んでる」
「どうだか。ただ、加護を奪うために思えるね」
「つまりだよ、夜詩。次はお前の番だ」
「はっ、やってみやがれ」
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