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最ッ低な出会い
神話に語られる彼等は、人間に加護と呪いを与える。加護は力を与え、呪いは力を削ぐ。加護を与えられた者を恵陽者、呪いを与えられた者を恵陰者と呼ばれ、両者は対立する運命にあった。
「音花さん、貴方明日から来なくていいわよ」
「ど、どうしてですか!?そんな急に…」
「昨日の会議で決まったことなの。今日までお疲れ様」
お疲れ様って。私まだ、入社して一ヶ月も経ってないんですけど。
でも、私がここでどう足掻こうと、踏み留まろうとしても、今まで上手くいったことなんてない。
そう、今回ので記念すべき十回目の退職命令が下ったのだ。
音花凜空、21歳。高校を卒業して三年目。未だに職が安定しない、お先真っ暗な人生を歩む、見た目はごく普通の人間。
本当は専門学校に通いたかった。けれど、一度は合格した学校も、入学直前になって取り消され、危うくニートになってしまうところだった。慌てて高卒採用の求人に応募し、何とか働かせてもらえるように。なるも、いつも一年いや、半年経たないうちに解雇されてしまう。
体質。それだけならこんなネガティブにはならない。
私の家系は皆、成功を知らない。皆ではないかな。何故か女だけ嫌気がさすほど事が上手く進まない。起業などとんでもない。会社に入ることすらままならない。だというのに、よく私の代まで命が紡がれるものだと、恨みたくもなる。
けれど、私の母はすごかった。成功など有り得ないというのに、とんでもない額の財を得た。まぁ、夜の仕事だけど。それも、〝呪い〟にあやかっているのを、私はつい最近になって知った。
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