最ッ低な出会い

3/14
前へ
/14ページ
次へ
 約八時間かけて辿り着いた念願の地。  宇迦橋の大鳥居がそびえ立つ、ここはかの有名な神話の国、出雲の中心。出雲大社への入り口。  いよいよだ。努力の第一歩。運のない私に幸福をくださいな、神様!木花知流姫神も神様なんだけど…。  大鳥居を抜けると真っ直ぐ伸びる神門通り。その脇に植えられた綺麗な松並木。整備された道路を進むと小さく見えていた二の鳥居がはっきりと目視できるほどの近くに。  坂を登りきると二の鳥居こと勢溜の大鳥居が出迎える。  何だか緊張してきます。  というのも出雲大社は全国から八百万の神々が出雲に集い、縁結びの神議(かみはかり)を行う地。そんな神聖な場所に立っていることが恐縮でならないです。  ここから左手に行けば、八百万の神々が稲佐浜から出雲大社へとお通りになると言われる神迎(かみむかえ)の道が続いています。  でも、その時期にここに来たら、木花知流姫神さんに会えるのでは?  そう思うと、私の足は自然と神迎えの道に向いていた。 「会ったら話を聞いてくれるのかな」  呪いをかけてくるような神様だ。会ってもくれなさそう。そもそもなんでこんなことをするのか。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加