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彼とのエピローグ、君とのプロローグ
_____そよそよと吹く5月の風が気持ちいい。
和水は目的の場所の前で、しっかりと立ち止まった。
そこにしゃがみ、花を供えた後、目を瞑り、手を合わせる。
そこには、昭輝の名前が刻まれていた。
数秒間手を合わせていた和水は、目を開き満足そうに微笑む。
そして立ち去ろうとした時だった。
「センセー!待って!俺も手合わせるから!」
「おい、もう俺お前の先生じゃないって」
「あ、ごめんごめん、高校ん時の癖が中々抜けなくってさ〜」
そう言って駆けてきた令と一緒に、もう一度目を瞑り手を合わせる。
しばらくして目を開けた令が立ち上がった。
「じゃ、行こっか、和水さん」
「…そうだな」
すっと差し出された左手を掴み、立ち上がる。
そのまま手を繋ぎ、令と和水は歩き出した。
2人で楽しそうに、どこ行こうか、なんて話しながら、歩みを進めていく。
そんな2人を祝福するように、さあっと爽やかな風が吹気抜けて行った。
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