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ここの常連客であろう男性は、ためらいもなく最初からそう言われているのか分かっているのか。
「メイドって可愛らしいと思うのと、貴女も似合うと思ったから」
普段では聞き慣れあい言葉を投げかけられた。
しかも、メイドさんが可愛いと思うのは分かるけれども、初対面の相手にそういう事を言う男性。正直にやばい人だ。
メイドさんは元の可愛らしさとメイド服が完全にマッチしているから可愛らしいだけで、けして私が可愛いと言われた訳ではない。
そう自分自身に言い聞かせて気持ちを落ち着かせた。
急に知らない男性にそんな性癖を言われても、困るとより幻滅させられた。早く帰りたい。早く帰ってお目当てのものをゲットしたい。
もう現実逃避に近い、幸せな妄想を寄り戻した。
「そ、そういうのはいいですから、ただ告白を断る為に着いて来たんです」
脳内の中で長々と考えて出た回答はこれだった。人の性癖や好意には期待しようと思えてきた。
ここの飲み物や優しそうな雰囲気を漂わせる店をけがしたくはない。
でも、言う時は言わないと後々迷惑の葬られる。だから男性に対して淡々と用意してきた回答を立ち上がろうとした状態で述べた。
席から外そうとしてみたが、男性のある言葉に出口へ向かう足を止める。
「でも、こんな可愛い場所でメイドの服装は気になったりしないんですか?」
近くにいるメイドさんの服装を見せつけながら、わざとらしく悪魔の囁きが茜を襲った。
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