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「へ? カイがヒトだったの? 」
俺の正体を明かしたら、ユナは拍子抜けしたように答えた。
「ユナ、ヒトってもっと大きくて、ムキムキで、サメみたいな歯が生えた生き物だと……? 」
どんな生き物だよ。
「だって、ヒトの噂凄いもん? 大型のスイカイと三回も戦って、熱帯雨林の争いにも参加して、しかも『守護者』のアカバネサマとも知り合いなんでしょ? 」
何一つ間違っていない。
「そうだよ、カイは凄いんだよ! ……ふぅ」
ノアよ、お前は消化に専念しろ。
「でねでね? ユナ、ヒトにお願いしに来たの? 」
お願い?
「『氷の海』で見つけたの? これ、ヒトのものでしょ? 」
ユナが差し出したもの。小さな手の上に乗った、黒くて小さな四角。
「これは……」
濁った灰色の画面、丸いボタンスイッチ、無数の穴。そして書かれた「調査隊専用」の文字。
「ボイスレコーダー……? 」
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