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「ぼ、ぼいす……」
「声を記録する道具だ。これに声を聞かせれば、後で何度でも聞き返すことが出来る」
戸惑うアオイに簡単な説明。
「ほぇ……」
あ、分かりにくかったか。まぁ詳細は後にしよう。
「氷の中で見つけた? 埋もれてた? 」
「調査隊」と書いてある以上、これは二十年前にヒトが使っていたものだろう。つまりこのボイスレコーダーは、二十年近く氷の中に埋まっていたことになる。
後ろの蓋を開けると、そこにあるのは充電池。充電すれば使えるだろうが、氷漬けになっていた機械だ。あまり期待しない方が良いだろう。
「これは確かにヒトの道具だ。『声』や『音』を保存するためのものだな」
「その中に、音が入っているの? 聞ける? 」
「聞けるかもしれないが……まずは充電が必要だ」
診療所には電気が通っている。だから問題はないと思っていたが。
「……コードがねぇな」
電気はある。機械もある。しかしコードがない。コードがなければ充電できない。
「えっと? 聞けないってこと? 」
その通りです。
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