【1】変化

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「ぼ、ぼいす……」 「声を記録する道具だ。これに声を聞かせれば、後で何度でも聞き返すことが出来る」  戸惑うアオイに簡単な説明。 「ほぇ……」  あ、分かりにくかったか。まぁ詳細は後にしよう。 「氷の中で見つけた? 埋もれてた? 」 「調査隊」と書いてある以上、これは二十年前にヒトが使っていたものだろう。つまりこのボイスレコーダーは、二十年近く氷の中に埋まっていたことになる。  後ろの蓋を開けると、そこにあるのは充電池。充電すれば使えるだろうが、氷漬けになっていた機械だ。あまり期待しない方が良いだろう。 「これは確かにヒトの道具だ。『声』や『音』を保存するためのものだな」 「その中に、音が入っているの? 聞ける? 」 「聞けるかもしれないが……まずは充電が必要だ」  診療所には電気が通っている。だから問題はないと思っていたが。 「……コードがねぇな」  電気はある。機械もある。しかしコードがない。コードがなければ充電できない。 「えっと? 聞けないってこと? 」  その通りです。 
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