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「トゥぺさん右! 」
「おうよっ! 」
眩い電撃が棘だらけの腕に命中する。その隙にユナが飛び出し、
「こっちだよー? 」
ユナの気の抜けた挑発に反応したのか、スイカイはゆっくりと進路を変更する。イソギンチャクの森に向かい、ズルズルと前進を始めた。
「アオイ! スイカイの様子は? 」
「イソギンチャクに向かっています! 他のスイカイは見当たりませんっ! 」
よし、上手くいっている。
「見えてきた? あれでしょ? 」
隣を走るユナの先に、ハタゴイソギンチャクが見えた。あの景色には見覚えがある。俺たちがフィリーに出会った場所だ。
「気をつけろ! 左から来るぞ! 」
「わかった‼︎ 」
振り下ろされた腕の棘の隙間。そこを上手く蹴り飛ばすノア。
「そろそろだ。気をつけろ‼︎ 」
気をつける相手はスイカイだけではない。イソギンチャクもだ。
一応あれも肉食動物。近づきすぎると、俺たちがイソギンチャクに捕まってしまう可能性がある。ギリギリまで引きつけたら離脱しなければ。
「みんな大丈夫⁉︎ 」
「あぁ。後は頼む! 」
フィリーはうんと頷くと、ハタゴイソギンチャクの上に立つ。そして大きく手を振りながら「来い‼︎ 」と叫んだ。
それに気づいたのか、スイカイは速度を更に上げて突進する。辺りの小さなイソギンチャクを容赦なく蹴散らし、砂を巻き上げ、透明な棘をギラギラ光らせながら。
「始まったな」
トゥペさんが呟く。スイカイは腕を持ち上げ、ハタゴイソギンチャクにのしかかる。そして体の下から何かを出した。
「何ですかあれ⁉︎ 」
「胃袋だ。ヒトデは口から胃袋を出して、餌に押し付けて消化しちまう」
空から降りてきたアオイに軽く説明。
「えっ⁉︎ フィリーは大丈夫なの⁉︎ 」
心配するノア。まぁ確かに、触れてしまったら消化されるからな。
ただし胃袋は体の中身。それをさらけ出しているということは、同時に攻撃のチャンスでもあるわけで。
「お願い、僕の家! 」
ハタゴイソギンチャクの触手から飛び出す無数の刺胞。それがスイカイの胃袋に突き刺さった。
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