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カイです。崖にぶら下がっています。
はい。やっぱり無理でした。向こう側の崖に着いたものの、崖の端に捕まるのが限界でした。
結構凄いジャンプしたのになぁ。走り幅跳び、結果は七メートルと少し。中々いい記録。後で自慢して……
「うおっ⁉︎ 」
あ、掴んでいた場所が崩れていく。自慢する「後」がなくなりそうだ。
カキ一つ採ろうとしてこの始末。洒落にならねぇよ。何とかして登れそうな場所を……
「あの、どうされました? 」
ん、幼い声。誰だか分からんが助かった。
「すまん。崖から落ちそうなんだ。誰か呼んでくれないか? 」
「へっ⁉︎ わ、わかりました。では私がっ‼︎ 」
声は上から聞こえた。見上げると、そこに居たのは幼い少女。海のような深い青の長髪、水色の瞳。青と白のフリルワンピースに身を包み、黒いローファーを履いている。
「悪いけど、あんた一人じゃ無理だろ。もっと大人を……」
「安心してください。これでも私『守護者』ですから‼︎ 」
……ん、「守護者」?
「大丈夫、大丈夫……これは『島』の命の危機……私が動いても大丈夫……」
あんたが大丈夫でも、俺は全然大丈夫じゃないんですが。
「ちょっと動かないでください! 今持ち上げます‼︎ 」
動くなと言われても、この状態では動けませんよ。そう思った瞬間、俺の捕まる崖が揺れ始めた。周囲の木々が騒めき出す。
「ちょっとあんた、何を……」
「大丈夫です。もう少しで! 」
すると俺の目の前で、信じられないことが始まった。
辺りの木の枝が一斉に伸び始め、俺に向かって迫って来る。まるでロープのように枝はうねり、俺の腕と体を縛り上げる。
何が何だか分からないまま、枝に捕まれて宙に浮く。そしてそのまま、ゆっくりと地面に降ろされた。
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