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「怪我はないですか? どこか痛い所は? 枝、苦しくなかったですか? 」
少女は捲し立てるように言う。目は潤んで、今にも泣き出しそうだ。
「いや別に。助けてくれてありがとな」
「いやぁ。それほどでも……」
今度は照れ始めた。感情の起伏が激しい奴だ。
「あんた名前は? 俺はカイ。一応ヒトだ」
「あ、はい。私はリュウ……」
そこまで言うと、少女はぴゃああと悲鳴を上げた。両手で顔を覆って地面にへたり込む。俯いたままぷるぷる。俺、何かしたか?
「簡単に姿を見せないようにってヌシサマに言われてたのに……あぁ、また怒られる……アカバネサマに笑われる……」
情報量の多い独白、お疲れ様でした。
「きょ、今日のことは忘れてください! あと誰にも言わないように。私とあなたの秘密ですからね⁉︎ それではっ‼︎ 」
わかったわかった。忘れろって言われても無理だけど。
「あれ、二人だけの秘密って、ちょっとステキかも……」
は?
「あぁぁそうじゃない! とにかく、気をつけて帰ってくださいね⁉︎ 」
こうして騒がしい少女は帰って行った。話の内容からして、彼女はアカバネサマと同じ「守護者」なのだろう。(あの様子だとちょっと心配になるが)
まぁ忘れてくれと言われた関係だ。これ以上の詮索はやめてカキを採ろう。
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