【3】竜宮様

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「ノアお姉ちゃん? 」  船の上でぼうっとしていたら、ユナが話しかけてきた。お姉ちゃんって呼ばれるの、やっぱり少しくすぐったいな。 「なんか元気ない? 大丈夫? 」 「え、平気だよ⁉︎ そんな風に見える? 」 「……嘘ついてる」  ユナの声から、いつものふわっとした雰囲気が消えた。 「ユナわかるよ。スイカイ倒せなかったからでしょ」 「む……」  思っていたことをズバリと当てられた。あんなに大きなスイカイ。放っておいたらみんなが食べられちゃう。  でも私は全然敵わなかった。リュウグウサマが助けてくれたから良かったけど、あれより強いのが出てきたら? 誰も助けに来なかったら? 「私、弱いんだね……」  心が漏れてしまった。お姉ちゃんなのにかっこ悪いや。 「ノアお姉ちゃんは強いよ。少なくともユナよりは絶対。多分、カイとアオイお姉ちゃんよりも」  でもね、とユナは続ける。 「ノアお姉ちゃんより強いものも一杯いるんだと思う。海広いし。だから勝てなくても当たり前」 「そうだけど……でも……」  カイもアオイもユナも、それから「島」のみんなも。守りたいものがたくさんあるのに。私が弱かったら何も守れない。強くない私がみんなを守るなんて、無理なのかな? 「だからさ、ノアお姉ちゃん」  ユナがずいと前に出る。そして私をじっと見上げる。 「修行しよう」  ……しゅぎょー?
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