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「ノアお姉ちゃん? 」
船の上でぼうっとしていたら、ユナが話しかけてきた。お姉ちゃんって呼ばれるの、やっぱり少しくすぐったいな。
「なんか元気ない? 大丈夫? 」
「え、平気だよ⁉︎ そんな風に見える? 」
「……嘘ついてる」
ユナの声から、いつものふわっとした雰囲気が消えた。
「ユナわかるよ。スイカイ倒せなかったからでしょ」
「む……」
思っていたことをズバリと当てられた。あんなに大きなスイカイ。放っておいたらみんなが食べられちゃう。
でも私は全然敵わなかった。リュウグウサマが助けてくれたから良かったけど、あれより強いのが出てきたら? 誰も助けに来なかったら?
「私、弱いんだね……」
心が漏れてしまった。お姉ちゃんなのにかっこ悪いや。
「ノアお姉ちゃんは強いよ。少なくともユナよりは絶対。多分、カイとアオイお姉ちゃんよりも」
でもね、とユナは続ける。
「ノアお姉ちゃんより強いものも一杯いるんだと思う。海広いし。だから勝てなくても当たり前」
「そうだけど……でも……」
カイもアオイもユナも、それから「島」のみんなも。守りたいものがたくさんあるのに。私が弱かったら何も守れない。強くない私がみんなを守るなんて、無理なのかな?
「だからさ、ノアお姉ちゃん」
ユナがずいと前に出る。そして私をじっと見上げる。
「修行しよう」
……しゅぎょー?
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