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「しゅ、しゅぎょーって……? 」
「強くなるために鍛えること。目指せムキムキイルカ」
ユナはふんと息をする。
「氷の海にはサヤ姉いる。シロキバの弟子で、カリウドやってる」
カリウド。スイカイと戦うのが得意な生き物のことだっけ。
「サヤ姉シャチだから、戦い方似てると思う。強くなりたかったら、強い子に教わるのが一番」
「シャチ⁉︎ 」
シャチは私たちイルカにとって、とても恐ろしい生き物だ。確かナモさんが「シャチを見たらすぐ逃げなさい」って言ってたっけ。それに母さんは、私やリラが悪戯すると「悪い子はシャチに食べられるよ」なんて言ってた。
でも今は「光」を浴びてるし、食べられないよね。大丈夫大丈夫……
「怖くない? 」
「サヤ姉は優しいから大丈夫。修行はえげつないけど」
えげつない。
「自分を追い込むのも大事」
「はーい……」
一応「ユナもやる」って言ってくれたから安心した。
でも「むきむきイルカ」なんてイルカ、聞いたことないや。カマイルカとかハシナガイルカ、シナウスシロイルカみたいに、広い海の何処かにいるのかな。
怖いけど、強くなれるならやってみたい。シャチに教われるなら、私はきっと変われるはずだ。えげつないしゅぎょーだって乗り越えてやる。
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