72人が本棚に入れています
本棚に追加
色鮮やかなカキを三つ取り、再び崖の前に立つ。さて、どうやって戻ろうか。
さっきは無茶なジャンプをした結果、死にそうになってしまった。今度は安全な方法を考えないと。
だが、よく考えたら随分と跳べたものだ。八メートルは無理でも、七メートル九十センチ程度は行けた。今までの俺だと信じられない距離。
思えばこの「島」に来てから、随分と体力が上がった気がする。特に小石平原で倒れてから。あれ以来転ぶことも減ったし、体も疲れにくくなった。何があったかは分からないが、出来ることが増えたのはいいことだ。
後でノアと競争でもしてみようか。以前やった時は呆気なく負けたが、今ならいい勝負になるかもしれない。
「にしても、無理はできないよな……」
カキを持ったまま跳べば、先程よりも飛距離が落ちるのは確実。「守護者」の少女も去ってしまったし、どうするか……
「ん? どうしたの? 」
後ろから声。今度は誰だろうか。
「綺麗な木の実? ユナにもくれる? 」
白と黒が混ざったショートヘア、白いシャツに黒いベスト、真っ白な長ズボンの先は黒いブーツ。俺の半分ほどの小さな少女が立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!