11人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
玄関のドアを開けると、そこに立っていたのは三十代後半くらいの男性でした。
うんざりです。僕は女の子が好きなんです! と声高に主張したところで状況は変わりません。男の登場人物が増殖し続ける悪夢の世界に囚われてしまったんでしょうか。
このお話はミステリーです。ホラーは絡んでません。
で、その男性は身長は低くて痩せています。
そのわりに顔は丸くて、印象を率直に言うなら、老いた小動物みたいな感じです。
ついでに七三分の髪型はここだけの話、かつらです。
というわけでこの人のことはかつらさんと呼びましょう。わかりやすいのはいいことです。そして表記はひらがなであることが大事なポイントです。
かつらさんは社長さんより遅く来たことについてもごもごと手袋さんに言い訳を始めましたが、手袋さんは一言。
「社長が居間でお待ちです」
それだけでかつらさんは突然慌てだして別荘の中に入ってきました。そしてそのまま手袋さんは置き去りにして居間へのドアへと消えていきました。
手袋さんは軽く息を吐き出して気を取り直すと、居間に戻ろうとしました。と、そこで。
車が地面を踏み締める音が近づいてきました。
最初のコメントを投稿しよう!