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問題篇1 登場人物
一人の少女が、人のいない田舎道を大きな荷物を抱えて息を切らしながら、ヤドカリが乗ったカタツムリみたいな速度で老いた犬のようにふらふらと歩いていました。
歳は少なくとも外見上は僕と同じくらいで十代半ば。身長は低めで髪は短めで頭の横をひとふさ縛っています。
今はそうでもありませんが、普段は表情が豊かで活発な印象を周囲に与えているであろうことは、大きく丸い瞳などから簡単に想像できます。
服は短いスカートなどを着ていて、軽装。一応冬なんですけどね、今。
道路はともかく、田園風景の中には積もった雪なども溶けることなく残っています。
そんな中でも少女は寒そうな様子はなく、ふてくされたような顔をしながら牛を背負った馬のような歩みで、いつ着くとも知れない目的地へと、おそらくは近づいていっています。
「あんた、さっきからうるさいんだけど」
独り言だとしたら相当危ない感じのセリフを、己の眼前の幻にたいしてはっきりと叩きつけました。怖いですねー。
「独り言じゃないんだけど」
と、彼女。そろそろ返答しましょう。
――はい、もちろん知っています。これこそが今回の最大の変更点ですから。
つまり、皆さん。こういうことです。
僕にもついに彼女が
「ちがう!!」
……はい、違いました。
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