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「それで、あたしはやっぱりここから調査に行けばいいの? 一応そのつもりで着替えたんだけど」
――着替えのシーンくらいならマンガでも映画でも普通に出てくるんですよ?
「誰に対するクレームなのかよくわかんないけど……で?」
――そうですね。でも普通に調査はできないはずなんですよね、状況的に。ナビちゃんは新しく入信した信者でしかないですし、教団は事実をそのまま出そうとはしないので調査なんてされたくないわけです。
「あー、まあ……そうだろうねー」
――さらに警察が来たりすればナビちゃんに情報が流れてくることは普通はほぼあり得ません。ということで、僕の『物語の都合上パワー』によって、なんとなくナビちゃんが調査できちゃう感じにしてしまいます。
「探偵ものでよくある情報を横流しする刑事とか関係者とかとのパイプを繋ぐ手間が省けるってわけだよね。めちゃくちゃ楽。超便利。……むしろこっちがあんたの存在意義じゃない?」
――あ、確かに。
「それにしても……この展開、意味ありげだよねー」
ふと思い出したように言うナビちゃん。
――この展開って?
「事件の翌日に調査開始ってとこ。怪しすぎでしょ」
――ですよねー。でも今はまだ言えません。それと今回はミスリード多めかもしれませんから、いろいろ気をつけてくださいね。
「気をつけろって言われてもね……」
さて、そろそろ調査に行かないとなんですけど、調査ができたとしても容疑者を絞っていく段階をひとつひとつ踏んでいくと、なかなか大変なんですよね。そこでここでも僕のパワーで省略しまくります。
「そこも飛ばすんだ……。やり過ぎはどうかと思うんだけど」
――最終的な犯人候補に辿り着くまでの過程をちょこっと省略するだけですよ。
まず教団の内部事情に詳しい信者さんを探して話を聞き、教団内部の上下関係や派閥を知ります。そしてその立場に応じた自由に動ける範囲やできること、できないことをいろんな人に聞いて実際のところを調べていきます。すると犯人であるために必要な最低限の条件が見えてくるので、それに当てはまる人を洗い出します。そこまで行ってやっと犯人候補が絞られてきますので、それに基づいての調査ができるようになります。
「全然ちょこっとじゃないし、完全に長編だね」
――つまり最終的な犯人候補が絞られるまでのところを、適当に省略するわけです。主に、いろんな人への聞き込みを。
「その内容って、今ここで聞いてもいいの?」
――別にいいですけど、いっそ場面転換も兼ねてしまいましょう。会話だとそれはそれで長くなってしまいそうなので。
「どんだけ効率重視なの……」
――だって、普通にやると本当に長くなりすぎるんですもん。
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