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薄明の空が海を境に広がる時分。
私たちは旅館の正面玄関を通っていた。
初めて見るとても上品な場所。
１階ロビーのラウンジ天井には、天女と龍の絵が施されており、ガラス張りのエレベーターからは吹き抜け一面に渡る「四季」の絵を眺める事が出来た。
食事会場は吹き抜けになっていて、中心のステージで日本舞踊や宝月歌劇などが行われ、それを各々の席で鑑賞する事が可能だ。
３階席から日舞や夜叉の身なりをした太鼓演奏を見て優雅な食事を満喫する。
御膳の味も上品だ。
「この旅館、凄く高そうだけど大丈夫かな 」
「旅館は俺に任せろって、樹くんが探してくれたんだけど。 ここってもしかして…… 」
「うん、これ下津リゾートの旅館だよ 」
爽やかに笑う湊くんを見て、「ですよね」と、私たちは苦笑いで目を合わせた。
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