124人が本棚に入れています
本棚に追加
星名くんは、綺麗で天使のようだと思った。
でも、恋愛感情とはちょっと違うと思う。
放課後、料理部の活動。
調理室には、エプロンを付けた女子生徒の姿があった。
本日のお題は、「想いを届けたい人へ贈るお菓子」だ。
通常2人1組になって調理をすることが多いけど、今日は8人それぞれが思いのままに作ることになっている。
「想いの相手は、家族や友達、好きな人でも良いですよ。 日頃の感謝を込めて、先生に贈っても喜ばれるかもしれませんね! それでは皆さん、楽しく作りましょう 」
周部長の言葉で、それぞれが準備に取り掛かった。
黒髪ショートに涼しい目元が、彼女のボーイッシュな雰囲気をより引き立てている。
頼れる料理部の部長である周さんは、女子も憧れの眼差しを向ける。
見た目も中身も、男子顔負けのカッコいい女子高生だ。
彼女のような女子を、ちまたでは〝ジェンダーレス女子〟と呼ぶらしい。
今日作るお菓子は、スノーボール。
丸く焼いたクッキー生地に粉砂糖をまぶし、雪の玉に見立てたアメリカの家庭菓子だ。
渡したい相手は、このお題を聞いた時すぐに思い浮かんだ。
今までの気持ちを込めて、私はスノーボールを丁寧に作り上げた。
それぞれの調理台から、甘い香りが漂ってくる。
開いていた窓から、部活動中の男子生徒らが顔を覗かせた。
最初のコメントを投稿しよう!