episode.7 天使の城

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昼休みの終了を告げる音楽が鳴り始める。 下津くんと廊下で別れると、比茉里ちゃんは周りを気にしながら私の腕に絡み付く。 尾行している警察のように、声を潜めた。 「下津くん、何企んでると思う? 」 「企む……? 私は、比茉里ちゃんがダブルデートなんて言い出してびっくりしたよ 」 廊下を降りながら、私は眉を下げた。 私の腕を掴んでいる為、彼女は降りづらそうに足を出す。 「下津くんって、チャラそうだけど意外と鋭いし周りをよく見てるよね。 あれは、一筋縄ではいかない気がするんだー 」 確かに、見かけによらず頭が良くて頼りになるイメージはある。 私は頷きながら、彼女の話を黙って聞く。 「そこで、急遽予定変更! 」 「予定変更? 」 「ダブルデートは、純粋に親睦を深めるためで探りは入れない。 多分、詳しく教えてもらえない気がするんだよね。 まぁ、小さい事でも何か情報が掴めればラッキー程度で! 」 そして、比茉里ちゃんが更に私の耳に口元を近付ける。 「放課後、ちょっと付き合ってね 」 そう話す彼女の声が、一段と弾んでいるように聞こえた。 下校前、私たちは美術室へと向かった。 ひとつずつ鉛が増やされるように、段々と足取りが重くなって行った。 宣戦布告をされてから、瀬崎さんに初めて会う用件がこれだなんて。 胸の中では、不安の風船が膨らんでいた。
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