episode.7 天使の城

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瀬崎さんが、「げっ」と言うような表情を見せる。 「違うの? じゃあ、今何してたのよ 」 比茉里ちゃんが首を傾げながら、藤波くんを疑いの目で見る。 彼は、一瞬呆れたような目をして顔をしかめた。 「気持ち悪りーこと言うのやめてくれ 」 「やば、鳥肌立ったんだけど 」 青ざめた顔で腕を抱えると、瀬崎さんは肩を震わせる仕草を見せた。 何か様子がおかしい。 私たちは目を白黒させながら、彼らを交互に見る。 藤波くんは、ため息を付いて落ち着いた声で言う。 「とりあえず、母さんが明日はうちに来いだと。 あと、学校で話しかけられたくねーならいい加減ココアトーク教えろよ。 こっちも、いちいち伝言係になんの面倒なんだけど 」 用件だけ話すと、彼は何事もなかったように準備室を出て行った。 私たちは、魚のようにぽかんと口を開けて、互いに目を合わせる。 もしかして、物凄く恥ずかしい間違えをしてしまったのかもしれない。 燃え尽きたように立ち尽くしていると、隣から肩を揺らして笑いを堪える瀬崎さんが視界に入って来た。 「あんた達、もしかして、沙絢が宗汰にストーカーされてるとでも勘違いした? 」 可笑しそうに笑う彼女を見て、私は顔を赤らめた。 「藤波くんが、瀬崎さんを好きだって言う噂を聞いた事があったから、もしかして何かされてるのかと思って…… 」 恥ずかしすぎて、もう一度あの机の下に戻りたい。 「やだっ、そんなが噂あるの?! やめてよ、アイツとは従兄妹(いとこ)なの。 また鳥肌立って来たじゃない 」 瀬崎さんは、腕を摩って寒そうな素振りを見せる。 2人が従兄妹だったなんて、想像をはるかに超えていた。
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