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瀬崎さんが、「げっ」と言うような表情を見せる。
「違うの? じゃあ、今何してたのよ 」
比茉里ちゃんが首を傾げながら、藤波くんを疑いの目で見る。
彼は、一瞬呆れたような目をして顔をしかめた。
「気持ち悪りーこと言うのやめてくれ 」
「やば、鳥肌立ったんだけど 」
青ざめた顔で腕を抱えると、瀬崎さんは肩を震わせる仕草を見せた。
何か様子がおかしい。
私たちは目を白黒させながら、彼らを交互に見る。
藤波くんは、ため息を付いて落ち着いた声で言う。
「とりあえず、母さんが明日はうちに来いだと。 あと、学校で話しかけられたくねーならいい加減ココアトーク教えろよ。 こっちも、いちいち伝言係になんの面倒なんだけど 」
用件だけ話すと、彼は何事もなかったように準備室を出て行った。
私たちは、魚のようにぽかんと口を開けて、互いに目を合わせる。
もしかして、物凄く恥ずかしい間違えをしてしまったのかもしれない。
燃え尽きたように立ち尽くしていると、隣から肩を揺らして笑いを堪える瀬崎さんが視界に入って来た。
「あんた達、もしかして、沙絢が宗汰にストーカーされてるとでも勘違いした? 」
可笑しそうに笑う彼女を見て、私は顔を赤らめた。
「藤波くんが、瀬崎さんを好きだって言う噂を聞いた事があったから、もしかして何かされてるのかと思って…… 」
恥ずかしすぎて、もう一度あの机の下に戻りたい。
「やだっ、そんなが噂あるの?! やめてよ、アイツとは従兄妹なの。 また鳥肌立って来たじゃない 」
瀬崎さんは、腕を摩って寒そうな素振りを見せる。
2人が従兄妹だったなんて、想像をはるかに超えていた。
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