124人が本棚に入れています
本棚に追加
「情報交流会」と言う名だけの女子会を終え、私たちはカフェを出た。
空は黒く淀んで、まるで今の現状を現しているかのようだった。
結局、タイミングを逃して、湊くんが誰とも付き合わない理由を聞きそびれてしまった。
もしかして、絵の女性と何か関係があるのかな。
すると突然、目の前に制服姿の下津くんが現れた。
「あれ、珍しい組み合わせで何してるのー? 」
私たちは揃って立ち止まる。
前の書店から出て来た彼が、こちらに向かって歩いて来た。
「小雪と比茉里ちゃんって、仲良かったんだ? 」
目を丸くする彼に、比茉里ちゃんは無反応だった。
茫然としていると言うか、少し様子が変だ。
明智さんは彼女の肩をグイッと抱くと、屈託のない笑顔を見せた。
「うちら、今日から戦友なんだよなー 」
「へぇ、戦友? 」
不思議そうに首を傾げる下津くん。
何か言いたげな顔をして、私に視線を送ってくるけど、私は分からない振りをして夜空を見上げる。
「下津くんが女の子を呼び捨てするなんて、初めて見た 」
比茉里ちゃんが、目を放心させて呟いた。
相当ショックだったのか、唇が少し引きつっているようだ。
一瞬フリーズしたように、彼は目を白黒させながら彼女たちに目を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!